『飛躍の年』にペリカンズの中心選手へ、ドリュー・ホリデーの活躍を考察する

2018/09/08
NBA&海外
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ドリュー・ホリデー

文=神高尚 写真=Getty Images

超大型契約に見合ったパフォーマンスで信頼に応える

昨年のオフ、ペリカンズはドリュー・ホリデーと5年1億2600万ドル+最大2400万ドルの出来高で再契約しました。キャリア8年間で平均得点が18点を超えたことがなく、オールスターに選ばれたのも1度しかない選手に対して、大きな賭けとなる契約であるだけでなく、アンソニー・デイビスとデマーカス・カズンズを擁するチームとしては、第3の選手に払うべき金額とは考えがたいものがありました。

結果的にケガから完全復帰できるか確信が持てないカズンズに長期契約を提示しなかったのですが、ホリデーの契約が足かせになる可能性もあったわけです。その一方で昨シーズンのホリデーは目覚ましい活躍を見せ、最終的にチームにとってカズンズよりも重要な存在になりました。チームはホリデーを信じ、ホリデーはその信頼に応えたのです。

本来はポイントガードのホリデーは、より得点面に比重を移すためにシューティングガードにポジションを変更しました。ガードのように長くボールを持つカズンズや新加入のラジャン・ロンドがいるロスターも関係していましたが、それ以上にチームオフェンス改革のために必要なコンバートであり、ホリデーの能力を信じての改革でもありました。

ペリカンズは高い身体能力を誇るリーグ最高のビッグマンのアンソニー・デイビスを中心にして、展開の速さとカットプレーの質の高さに特徴があります。そのために必要になったのが、シューティングガードであっても積極的にボールをプッシュして早い展開に繋げ、高いパス能力でフリーになる選手を見逃さず、それでいて自分自身も得点できることでした。その役割に最も適しているのがホリデーだったということです。

バランスの良いチームオフェンスの中心にいたホリデー

ペリカンズはアシストでリーグ3位の26.8を記録し、前年から3.9増やしました。ポイントガードがホリデーからロンドになって増えたというよりも、シューティングガードになっても落ちなかったホリデーの数字(6.0アシスト)がチーム全体のアシスト数を押し上げました。

3ポイントシュート成功率33.7%と振るわなかったホリデーですが、得点はキャリアハイの19.0点まで向上します。それを支えたのが55.7%を記録した2ポイントシュートの確率です。しかもこの数字は前年から6ポイントも向上しており、その効率の高さを示しています。

2ポイントシュートが大きく改善したのは、ダンクやレイアップといったリングに直接押し込むようなシュートが半分以上を占めるようになるほど大幅に増えたことです。シュート力が向上したのではなく、よりリングの近くまで切り込めるようになったわけです。

これはペリカンズのチーム全体として言えることで、ツインタワーの存在感もあり特にカットプレーでの合わせが増えた事がイージーシュートの増加に繋がりました。さらに早い展開によってホリデーが切り込みやすいシーンも増えたのです。ポジションコンバートによるチームオフェンス改革の成果が明確に出ています。

高得点を記録するわけではないものの、切れ込んでイージーシュートを決めていくホリデーの存在感は抜群で、ドライブでの得点が増えてディフェンスを引きつけるとアウトサイドにパスを出していきます。それまではアシスト先がアンソニー・デイビスに集中していたのが、昨シーズンはアウトサイドのシューターが増えました。バランスの良いチームオフェンスの中心にホリデーがいたのです。

さらに第4クォーターに限れば3ポイントシュートの成功率が38%を超え、自分で勝負を決めに行くプレーをしていました。平均19点はエースとして高い得点力とは言えませんが、終盤に集中力を高めて得点できることがホリデーの価値を高めました。それだけアシストは減るのですが、純粋なポイントガードであるロンドを相棒に据えるのはチームにとっても重要でした。

高額契約に相応しい選手であることを攻守に証明

オフェンスで果たした役割について触れてきましたが、ホリデーの最大の武器はオールNBAディフェンシブファーストチームに選ばれた守備力にあります。ペリカンズは早い展開を求める中で、ディフェンスでも崩れた状態になることが多く、より個人で止めることが求められる傾向にあります。

高いブロックで速攻を止めたり、あるいはボール運びに激しいプレッシャーをかけてオフェンスを遅らせたり。多様なディフェンス能力を見せるホリデーですが、その真骨頂は「ひたすらしつこく追いかける」ことにあります。

小さめのスタンスで細かく足を動かすことでマークマンとの距離を狭め、抜かれても直ぐに追いつく反応力の高さとバランスの良さで、しつこく追いかけ回し、相手が根負けするのを待つような守り方をします。読みの鋭さやハンドチェックの上手さと言うより、愚直に追い込んで相手のミスを誘う形でボールを奪っていきます。

またチーム事情もあり、マークする相手もガードだけでなく、自分よりもサイズの大きいウイングも担当します。少しでも苦しい体勢でのシュートに追い込むことができ、時にはブロックさえしてしまう身体能力で、相手のエースにプレッシャーをかけ続けるのでした。

昨シーズンのホリデーは、それまで示していた能力をより効果的に、そして安定的に示すことで高額契約に相応しい選手であることを証明しました。オフェンスだけでなくディフェンスも優れたツーウェイプレイヤーとして、試合中は常に中核的な役割をこなしたのです。この夏はより高いパフォーマンスを発揮すべく、弱点であるシュート力の改善に取り組んでいます。

ペリカンズはカズンズとロンドが移籍してしまい、エルフレッド・ペイトンやジュリアス・ランドルといった若手を加えました。新シーズンはリーダーシップも求められ、ホリデーの中心選手としての役割は大きくなります。