「ブルズで重要な役割を担う選手になれるように刺激を与えてくれた」
2021年のバスケットボール殿堂入りを果たしたトニー・クーコッチは、NBAでプレーするヨーロッパ出身選手の数が少なかった1990年代に黄金期のブルズで主力を担った名選手だった。
殿堂入り式典でクーコッチのプレゼンターを務めたのは、かつてのチームメートだったマイケル・ジョーダンだった。ジョーダンとクーコッチと言えば、1992年のバルセロナオリンピック決勝が思い出される。クロアチア代表の主力だったクーコッチは、決勝でジョーダン、スコッティ・ピッペンらNBAスーパースターで編成された『ドリームチーム』と対戦。しかし、ジョーダン、ピッペンの厳しいマークの前に成す術がなく、アメリカが力の差を見せつけて117-85で勝利した。
1993-94シーズンからブルズでプレーし始めたクーコッチは、1995-96シーズンにジョーダンが一度目の引退から復帰後、ピッペン、デニス・ロッドマンらの控えとして活躍し、スリーピートに貢献した。
自伝的なドキュメンタリー作品『The Last Dance』でジョーダンは、クーコッチ獲得を狙うフロントの動きを自分たちに対する過小評価だととらえ、必要以上にクーコッチを狙い撃ちにしたことを明かしている。
クーコッチも当然、この作品は見ているだろう。式典でのスピーチで、「この場にいるマイケル・ジョーダン、それからスコッティ・ピッペンという紳士に御礼を言いたい」と語り、「彼らがバルセロナでのオリンピックで僕の尻を叩いてくれた。ブルズで重要な役割を担う選手になるために必要な刺激を与えてくれた」と続けた。
そしてクーコッチは、自身の獲得を決断したブルズオーナーのジェリー・ラインズドルフ(彼もジョーダンとともに殿堂入り会見に立ち会った)、そして元ブルズGMだった故ジェリー・クラウスへの感謝の気持ちを語った。
「私をブルズに呼び寄せてくれ、私の力を信じてくれたジェリー・ラインズドルフ、そして故ジェリー・クラウスには本当に感謝している。当時はアメリカ出身以外の選手がNBAでプレーするのは珍しかったが、彼らは私を信じてくれた」