車いすバスケ日本代表

エースの香西宏昭「このメンバーだからこそメダルを取れた」

東京パラリンピックの最終日を飾った車いすバスケの男子決勝戦、日本代表は前回優勝のアメリカを相手に先行し、その後もシーソーゲームを演じたものの、最後はアメリカに突き放されて60-64で敗れた。それでも、自国開催のパラリンピックで最後まで堂々の戦いを演じ、銀メダルを獲得した意義は大きい。試合が終わった直後は悔しさをにじませていた選手たちだが、表彰式を終えた頃にはやり尽くした充実感が表情に出ていた。

アテネからパラ5大会出場の37歳、長くチームを引っ張って来た藤本怜央は「最高の舞台で最高のプレーができた」と胸を張った。「自分たちがやってきたものは全部出せた。それが4点差の結果となりましたが、これ以上できないというぐらい出し切った上での結果なので喜びを感じながらも、次の目標が見えた試合だった」

「リオが終わった後にすべてを見直し、メダルを取ると覚悟を決めてやってきて、結果として残ったことで報われたと思います。19歳で代表入りして、19年ずっとやってきて、若い選手が自分と同じ覚悟と志を持って戦ってきたこの5大会目は、本当に僕の日本代表人生の中でかけがいのないものになりました」

藤本より5歳年下の31歳、ともにチームを牽引した香西宏昭は「もう少しで勝つことができた。ちょっとしたミスやターンオーバーが高くついてしまった試合だった」と悔しい負けを振り返りながらも「すごく良いディフェンスのローテーションができていた。プレスディフェンスも向こうのリズムが崩れていると感じました」と、フィールドゴール15本中9本成功の18得点という自身の活躍ではなく、チームディフェンスを誇った。

胸にかけられた銀メダルには「まだ信じられない、なんかまだフワフワしている。どちらかと言うと負けて悔しい」と実感がつかめていない様子。

それでも決勝までを戦い抜き、パラの全日程が終了した今、香西は最高の仲間と戦えた喜びをこう語った。「本当に素晴らしいチームでした。1試合1試合どんどん成長していくチームで、この中にいることができて光栄だ、幸せだなと思って大会を過ごしてきました。なので今は、もうこのメンバーでバスケができなくなる寂しさの方が強かったりして。でも、このメンバーだからこそメダルを取れたと思っています。本当にみんなに感謝しています」