準決勝で高さと得点力のある中国との再戦
ジャカルタ(インドネシア)で開催されているアジア競技大会はいよいよ今日から男女の準決勝を迎える。女子バスケットボールは日本、中国、チャイニーズ・タイペイ、南北合同チーム(韓国・北朝鮮)の東アジア4強が順当に準決勝に進出した。今大会、代表選手の負傷によって急遽3×3競技に出場し、見事銀メダルを獲得した馬瓜ステファニーも5人制のチームに戻り、練習を再開している。
準決勝の相手は中国であり、予選ラウンドで対戦した相手だ。通常、FIBA主催の国際大会では予選グループの1、2位チームは決勝トーナメントでは際に逆ブロックに振り分けられるが、今大会は予選と同組の上位2チームが準決勝で対戦する異例のカードとなっている。現場では当然のことながら各国から疑問の声が上がっている。
薮内夏美ヘッドコーチは「同じグループ内でまた準決勝で当たってしまう不可解な組み合わせなので、どういう経緯でこうなったのかを正式に回答してもらえるようにしたいと思っています。ただ、組み合わせが決まった以上はしっかりと準備をして戦う」と語る。
大会序盤の8月17日に行われた予選ラウンドの中国戦ではリバウンドを支配され(日本は20本、中国は51本)、シュート力でも差を付けられて73-105で完敗を喫した。中国は若手を加えながらも身長2m台の選手が2人、平均188cmの高さを持つ(日本は平均175cm)。また高さだけでなく、昨年のアジアカップ準決勝で日本と死闘を繰り広げたメンバーを数人擁し、下馬評の高いチームである。
「中国はいずれ倒さなくてはいけない相手」
薮内ヘッドコーチは日本の戦い方として「私たちはAチームの魂を引き継いだBチームですが、A代表よりは高さの面で劣ってしまうので、Bチームの良さをプラスアルファすることでチームを作ってきました」と言う。B代表の特長とはガード陣はもちろんのこと、篠崎澪、渡邉亜弥、林咲希らシューティングガードの選手たちが、小さいながらもスピードと運動量を誇ること。
そのために、予選ラウンド最終戦となったカザフスタン戦では中国戦を睨んで修正を図った。「篠崎、林、渡邉の機動力を今まで以上に増すことを意識して修正しました。中国は強敵ではありますが、いずれは倒さなくてはならない相手。それが準決勝なのか、決勝なのかの違いだと思って、再度チャレンジします」と薮内コーチは意気込みを語る。
キャプテンの篠崎澪も同じ思いだ。「中国に勝たないと金メダルは見えてこないので、とにかく中国に勝つこと」と強い意志を見せる。
篠崎はこの若手チームの中で、A代表としてのキャリアを持つ数少ない選手の一人だ。今大会の日本は将来性豊かな選手が名を連ねているが、初代表の選手が多く、キャリアとしてとても若いチーム。そんな中で篠崎は2015年のアジア選手権(現アジアカップ)での優勝に貢献し、リオ五輪の出場権をつかみ取る経験をしている。トム・ホーバスヘッドコーチは合宿が開始した当初から「B代表からA代表に昇格するチャンスはある」と競争を促してきただけに、篠崎自身は当然のことながら「上(A代表)でプレーしたい思いはずっと持っている」と言う。
だが今は「この大会で金メダルを獲ることしか考えていない」とキッパリ宣言する。
「B代表の選手たちはとても若いために『自分が、自分が』となってしまうプレーが多いので、そこをチームプレーにしていくことが私の役目。チームの役割やチームプレーができる選手であることを評価してもらうのも、A代表に上がるアピールだと思う。だからまず、このアジア大会で日本の良さを出してチームとして戦い、金メダルを獲るというのが第一目標。今はアジア大会で結果を残すことだけを考えています」
「若手に『これが日本代表だよ』という戦いを見せたい」
中国戦では高さで劣勢だったこともあるが、一人ひとりが迷いからボールが手から離れず、日本の良さであるボールシェアができなかった。そのために、日本の良さを潰されて得点が止まり、さらに相手に得点を取られて悪循環になった。その修正をカザフスタン戦で行ったが、「前半は徹底できなかった課題が出た。中国戦では試合開始から徹底できないとやられてしまう」と、まだまだ突き詰める点は多いと気を引き締める。
「どんな手を使っても勝つという意識で戦い、その中で自分たちのやるべきことをしっかりやる。それはリバウンドの徹底であったり、もっともっと速いバスケットをすること。みんなでボールを回してシェアして動くバスケットを徹底してやりたい。一日の練習量は少ないのですが、映像を見たり、チームで話し合ったりして、とにかく中国戦に勝つことに対して自分の100%を出したいし、若い選手たちに『これが日本代表だよ』という戦いを自分から見せていきたい」とキャプテンとして意気込む。
決勝進出をかけた中国戦は今日、日本時間の14時半にティップオフを迎える。