最強アメリカ「相手のほうが一枚上手な感じがしました」
バスケットボール女子日本代表は東京オリンピック決勝戦でアメリカに敗れ、目標としていた金メダルには届かなかった。それでも、ベスト8の壁を乗り越え、初のメダル獲得を実現した彼女たちにもちろん悲壮感はない。
不動の先発メンバーとして日本の快進撃を支えた赤穂ひまわりは「誰もが立てる場所ではなく、特別な場所だと思っていました。いつも通りやろうとは思っていましたけど、やっぱりすごいなぁって。でもそこまで緊張はしなかったです。メダルをかけてもらって、すごいところに立てました」とオリンピックを終えた感想を口にした。
赤穂の最大の魅力は185cmのサイズながら2番ポジションをこなせる機動力、外角シュート、ボールハンドリングを備える多才さだ。高さで劣る日本の中で唯一サイズ負けせず、インサイドでも個で勝負できる存在だった。しかし、アメリカとの決勝戦では果敢にアタックするもブロックされ、タフショットを決め切ることができずにフィールドゴール8本中1本成功の3得点に終わった。赤穂も「行ける部分はあったんですが、ブロックされてまだまだ課題だなと。そこのフィニッシュをもっと練習していきたい」と、フィニッシュの精度を課題に挙げた。
アメリカとは予選ラウンドでも対戦した。それでも、試合を通して徐々に調子を上げていったアメリカは決勝トーナメントの対戦相手すべてに20点差以上をつけるなど、別のチームへと変貌していた。赤穂もアメリカの変化を実感していた。
「1戦目でできていたことができなくなって、そこで日本の足が止まってしまった。外も止められたし、ガードのミスマッチを作られたところもあって、やりたいことをやらせてもらえなかった。『変えてきた』と思って、そこに対応しきれなかったです。行きたいタイミングではなく、行かされている感があって、相手のほうが一枚上手な感じがしました」
アメリカの牙城は崩せなかったが、世界最強の相手と本気で渡り合った経験はかけがえのないものだ。特に22歳と若く、これからも日本の中心であり続けるであろう赤穂であればなおさらだ。赤穂はオリンピックでの6試合すべてに先発し、キャプテンの髙田真希に次ぐ26.6分のプレータイムを与えられた。平均9.3得点、チームトップの7.3リバウンドを記録し、「自分のプレーが出せる実感があったので、少しは成長できたのかな」と赤穂は言う。
激戦を終えた直後だが、赤穂はすでに次のオリンピックを見据えている。「見て分かる通り、やれている部分とやれていない部分がはっきりと出た大会だったと思います。その通用している日本のバスケをもっと突き詰めて、良いバスケがずっとできれば強いと思うので、個人個人に与えられた役割をやっていくだけ」
日本は今後も『スモールバスケット』で世界の頂点を狙っていくだろう。東京オリンピックで確かな成長を感じた赤穂だが、これから全盛期を迎える彼女の成長はそのまま日本の伸びしろとなる。