辻直人

取材・写真=小永吉陽子 構成=鈴木健一郎

準々決勝で敗れるも、順位決定戦の2試合に全力

ジャカルタ(インドネシア)で開催中のアジア競技大会、5人制バスケットボールの男子日本代表は昨日、イランに敗れて準々決勝敗退が決まった。ただ、不祥事を起こした4選手が日本選手団の代表認定を取り消されて途中帰国。残った8人で戦わなければならない状況で、結果は出せなかったが戦う姿勢を見せたことは間違いない。

その中でも気を吐いていたのが辻直人だ。ワールドカップ予選を戦うAチームの常連としては辻と太田敦也だけがこの大会に参加している。辻は得意の3ポイントシュートを良い場面で立て続けに決めて日本の粘りを演出。さらにはディフェンスでも盛んに指示を出して若いチームを盛り立てた。

「やっぱり高さはありますし、フィジカルも強い相手だったんですけど、でも前半なんかは戦える相手だと思いました」と辻は試合を振り返る。

「ディフェンスで対策を練ったのはあります。それもあるんですけどディフェンスもオフェンスも、特にオフェンスでは高さを意識しないでリングにアタックしていこうと最初から言っていたので。第2クォーターは激しいプレーをできた結果があの点差になったと思います」

それでも粘ってイランに食らい付いていけたのは前半だけ。後半はズルズルと離され、結果としては67-93と大差での敗戦となった。それでも辻は「後半の出だしが第1クォーターみたいにフワッと入ってしまったことが一番の要因で、疲れよりも第3クォーターの出だしでした」と語り、8人で戦うことによる疲労を敗因とはしなかった。

いつも日本代表となると役割をシューターに限定され、プレータイムも短い辻だが、昨日の試合では両チームを通じて最長となる32分47秒の出場で、コートを所狭しと走り続けた。「体力的には一人ひとりが相当追い込まれたゲームで、ちょくちょくケガ人も出てしまっています。それでも明日も試合があるので、できる限りの準備はして挑みたいと思います」

ベスト4進出は果たせなかったが、まだ順位決定戦の2試合が残されている。心身ともに疲弊が激しいのは隠せないが、与えられた条件で最後まで戦い抜くべく、辻はチームを引っ張る。