豊村豪仁

昨年は伸び伸び、今年は「チームを勝たせる立場」

今夏インターハイ王者に輝いた鳥取城北は、ウインターカップ初戦となる2回戦で東海大学付属相模と対戦した。相手の強度の高いプレーと爆発力のあるオフェンスに苦しめられ、試合は序盤から僅差の戦いに。第3クォーター早々にゴール下への力強いアタックでリードを2桁に広げるが、トランジションから連続得点をくらって追いつかれるなど、一進一退の攻防が続く。しかし最後はここ一番での決定力で上回り、80-75で競り勝った。

鳥取城北の中心となるのは、準優勝に輝いた昨年のウインターカップでも主力を務めた司令塔の新美鯉星、フォワードの豊村豪仁、留学生ビッグマンのハロルド アズカ。ビッグスリーの一角を占める豊村はフィールドゴール12本中7本成功の16得点7リバウンド1ブロックと、攻守に渡る堅実なプレーで勝利をもたらした。

今シーズンのここまでの実績を見れば、鳥取城北のほうが明らかに上位チームだ。それだけに、序盤から接戦となれば周囲に『想定外の苦戦』と見られ、そのような会場の雰囲気を感じてあせりが出てきてもおかしくはない。ただ、豊村は冷静だった。

相模さんは2戦目、僕たちは大会初戦という違いがあります。いきなり相手にリードされることもあると思っていましたし、接戦になることは分かっていました。でも、そこで気持ちで切れてしまったら相模さんを勢いに乗らせて負けてしまいます。相手のシュートが入っていてもコンテストを続けるなど、やることをやっていたら相手のシュートも落ちてきます。また、相模さんはリバウンドが強く、ボックスアウトでやられた部分もありましたが、みんなで守る共通認識を持ってプレーできたのは良かったと思います」

また、この試合は第4クォーターの勝負どころでの豊村の積極的なアタックが光ったが、これは意図したものだという。昨シーズンから試合にからんだ経験を持つ最上級生として、豊村は勝負どころで大きな責任を担っていく覚悟を持っている。「僕や鯉星、アズカは去年のウインターカップを経験しています。他の選手たちが攻めていくのも良いですが、最後は大会に慣れている僕たち3人のうちの誰かがアタックしないといけない気持ちはあります」

「去年は2年生という立場で、言葉は悪いですけど伸び伸びプレーできていたところはありました。ただ、今年は3年生で、チームを勝たせる立場になっています。チームの中心として、最後はやらないといけないと攻めていきました」

豊村豪仁

「毎試合ステップアップして決勝にピークを持っていきたい」

そして豊村はリーダーの1人として、「会場は大きいので、のどが枯れるくらい、もっと大きな声を出せないといけないです。みんなを鼓舞したり、声でもチームに勢いを与えることはできるので、そこは意識していきたいです」とプレーだけでなく言葉でもチームを引っ張っていくことを大切にする。

インターハイ王者、優勝候補として今大会を迎える鳥取城北だが、豊村は注目度の大幅アップなど環境の変化に影響されていない。「インターハイ優勝で注目されているかもしれないですが、それはもう終わったことです。チャレンジャー精神で相手にリスペクトを持って、自分たちのバスケットを40分間やる。この姿勢で戦うことは大事です」

そして自分たちの強み、弱みをしっかりと把握している。「僕たちのチームには日本代表もいないですし、受け身で構えてしまったら弱いです。ただ、チーム力はどこよりもある。みんなで1つになって、自分たちのバスケットをできればタレント揃いのチームにも勝てると思います。決勝まで4試合しかないですが、毎試合ステップアップして決勝にピークを持っていきたいです」

指導者のような成熟した豊村の言葉に、取材陣から思わず「先生みたいだね」という言葉が漏れた。それに対して「『指導者に向いているね』とよく言われます」と笑顔で答えるユーモアさと頭の回転の良さを持ち合わせている。

これから勝ち進むにつれ、よりプレッシャーは増してくる。ただ、豊村は「真剣にプレーしている上でウインターカップは楽しいです。基本的に僕はいつも落ち着いてプレーするタイプなのであせりなくやれますし、特に変わっていないです」と重圧とは無縁だ。

高校生らしいひたむきさと、良い意味で高校生らしからぬ冷静さ、大胆不敵な部分を備えた豊村は、もっと言葉を聞いてみたいと思わせる選手の一人だ。