ジェイコブス大

12リバウンド3スティール、気合い満点の守備を披露

6年ぶりのウインターカップ出場を果たした東海大学付属相模は、2回戦でインターハイ王者、優勝候補の鳥取城北と激闘を演じたが75-80と惜しくも敗れた

東海大相模は試合の序盤から持ち味であるフィジカルの強さを生かし、サイズの不利にも屈せずゴール下のリバウンド争いで互角の勝負に持ち込む。トランジションからのイージーシュートによる連続失点を防ぐと、オフェンスではエースの高島舜弥が得点を重ねることで前半を五分五分で終える。

後半に入ると東海大相模は、鳥取城北のハロルド アズカ、新美鯉星といった中心選手たちの個の強さによるアタックを食い止められず。一時は14点のビハインドを追ったが、ディフェンスリバウンドを獲りきっての速攻というチームがやりたいオフェンスを繰り出すことで反撃を開始。鈴木郁武の連続3ポイントシュートも飛び出し、2点差にまで追い上げて第4クォーターを迎える。

4クォーターも僅差で試合は推移していったが、ゴール下で確実に得点していく鳥取城北に対し、東海大相模は3ポイントシュートが不発で自分たちのペースに持ち込めず。あと一歩で番狂わせを逃した。

東海大相模のジェイコブス オベッド大は身長188cmとインサイドの選手としては大きくないが、サイズの不利を補って余りあるコンタクトの強さとエナジーあふれるプレーを披露。8得点3アシストに加え、12リバウンド3スティールと特にディフェンス面でチームを支えた。

ジェイコブスは、次のように試合を振り返る。「城北さんがやっぱり一枚上手だったところはあると思います。その中で、自分たちが勝てるところで勝負しようと。それがプレーに出た結果がこの40分間だったと思います」

敗れたとはいえ優勝候補相手に大健闘、と外野は評価しがちだ。しかし当事者たちは当然違う感情を持っている。ジェイコブスは涙を流しながら「自分たちは全国ベスト8を目指して3年間やってきました。全国大会に出られない年もありましたけど、それでもやっぱり勝ちたい、絶対に目標を達成したい、という気持ちでプレーしてきました。でも力不足でした」と言い、さらに感情を露わにして言った。

「勝つことができなくて、それが本当に悔しいです」

ジェイコブス オベッド大

「みんなで頑張ろうとやってきた成果がプレーに出たと思います」

ジェイコブスは卓越したリバウンドなどディフェンスで大きな存在感を示した。「自分は技術が今はないので、ディフェンスで戦っていくしかないという気持ちでした。得点は仲間が決めてくれるのを信じていました」と語るが、闘志を全面に押し出したプレーで味方を鼓舞する姿も目立った。

このプレースタイルは仲間を思う気持ちから生まれたものだとジェイコブスは言う。「自分がプレーできている分、試合に出られずに応援してくれる仲間たちがいます。彼らの気持ちを考えると、自分ができる精一杯のことをやろうという気持ちで常に試合に臨んでいました。その思いがプレー中に声が出たりすることに繋がっていると思います」

負けた悔しさが第一にある一方で、ジェイコブスは「自分が持っている力を出し尽くす気持ちでプレーしました。そこに悔いはないです」と語り、高校バスケ生活をこう総括する。

「勝つことより負けることの方が多くて、悔しい思いをしてきました。それでもみんなで頑張ろうとやってきた成果がプレーに出たと思います。全国ベスト8の目標を達成できなかったのは悔しいですけど、最高の仲間たちと3年間一緒にやれたことは一生の宝物です」

東海大相模にとって、2回戦敗退は満足できない結果だ。ただ、ジェイコブスを筆頭に彼らのひたむきなプレーが見るものに鮮烈な印象を残したことは間違いない。