「アシストしてシュートを決めてもらえるのが一番うれしい」
国際強化試合『三井不動産カップ』に臨んだバスケットボール女子日本代表がベルギーと対戦した。
序盤にいきなり2桁のリードを奪うなど、出だしから日本の目指すトランジションバスケが機能した。ベルギーは世界ランキング6位の強豪だけに、途中で逆転を許し、その後は1、2ポゼッション差を争う接戦となったが、それでも最後まで運動量を落とさずに日本のペースに持ち込み84-76で勝利を収めた。
先発出場し、チームで3番目に長い24分のプレータイムを与えられた町田瑠唯は10得点10アシストのダブル・ダブルを記録。司令塔として、トム・ホーバスが目指す高速バスケットを見事に体現し、「自分たちのペースに持って行けたことが勝因」と語った。
町田はリングへのアタックから次々と味方のシュートチャンスを作り出した。キックアウトだけでなく、相手の裏を突くプレーも多々見られ、文字通りベルギーディフェンスをかき乱した。10アシストを記録すると同時に『アシストのアシスト』とも言える崩しの部分での活躍が目立ち「ペイントアタックが自分の仕事で、そこから崩すことが求められているのでそれを意識しました」と振り返った。
高さで劣る日本は覚悟を持ってスピード勝負に持ち込んだ。特に町田はチームハイの4スティールを記録するなど、ディフェンス面での貢献も目立った。「自分たちは小さいのでディフェンスをアグレッシブにして、そこから速い展開に持って行くのはチームのペースでもあるし、自分の好きなスタイルでもある」と言う町田が好パフォーマンスを見せたのは必然だったのかもしれない。
実際に町田は「アシストしてシュートを決めてもらえるのが一番うれしい。みんなが良いところに動いて自分のパスに合わせてくれて決めてくれるのでやりやすいというか、みんなが自分のプレーを引き出してくれていると思う」と笑顔で語った。
ホーバスヘッドコーチも称賛の出来
欧州選手権で大会ベスト5に輝いたエマ・ミースマンに30得点を許し、ベルギーのフィールドゴール成功率は50%を超えたが、それ以上に日本のプレッシャーディフェンスの破壊力が際立った。日本はフルコートディフェンスやハーフコートでもトラップを仕掛けるなど様々な策を駆使し、ベルギーから24個ものターンオーバーを誘発。そして、ターンオーバーからの得点で大きく上回り、バスケットボールがポゼッションスポーツだということをあらためて認識させた。
ヘッドコーチのトム・ホーバスは言う。「ベルギーはハーフコートオフェンスが非常に上手。ハーフコートゲームになったら勝てないと思って、たまにフルコートでトラップをやったり、ギャンブルをやった。そうすれば相手のペースも速くなるし、エースのゴール下だけにならず他の選手が打つようになる。そういうイメージができていた。ミスもあったけど、今日は本当に良かった」
日本にとってこの試合は、オリンピックで戦う12名に絞られてから初めての試合だった。すでに日本のトランジションバスケは世界で認められているが、「日本vs日本でやるとお互いに速いから、どれくらい通用するか分からない」と不安があったことを町田は明かす。
だが、強豪のベルギーを相手に完勝を収めたことで「速いバスケットをしなきゃ勝てないと思っていました。自分たちのトランジションが通用することが分かったので自信になった」と、大いなる手応えを得たようだ。
明日はオリンピック前最後の国際強化試合が組まれている。このプエルトリコ戦に勝利し、ベルギー戦で得た自信を確信に変えて、金メダルという大いなる目標を達成してほしい。