プレーオフで主役を演じるネッツ、低迷期からチームと成長し続けた『第4の男』ジョー・ハリスがNBA制覇のカギを握る

プレーオフで主役を演じるネッツ、低迷期からチームと成長し続けた『第4の男』ジョー・ハリスがNBA制覇のカギを握る

2021/06/12 08:40
ジョー・ハリス

ケビン・デュラント「ジョーが活躍するとチームが動く」

『オフェンスで4番目のオプション』としてジョー・ハリス以上の選手を持つチームはいない。ネッツは『ビッグ3』のチームだが、レギュラーシーズン平均で31.8得点のケビン・デュラント、24.1得点のカイリー・アービング、23.2得点のジェームズ・ハーデンに続いて12.8得点を記録するハリスの好守の影響力の大きさは誰にも否定できない。

ネッツの指揮官スティーブ・ナッシュは「ウチのスタープレーヤーを支える素晴らしい存在」とハリスを表現している。「エリートシューターであり、状況に応じて様々なプレーができる。バスケへの意欲が高く、身体能力があり、オフボールでも良い仕事ができて、チームメートとしても素晴らしい男だ」

クレイ・トンプソンのような選手になれるだろうか、との問いには「クレイは例外的な存在で、ジョーに余計なプレッシャーは掛けたくない」としながらも、称賛の言葉を惜しまない。「彼はあらゆる面で成長している。ドリブルもパスも、リム付近からのフィニッシュも上達している。判断力も良くなり、ディフェンスでも負けなくなった。もちろん、シュート力は向上し続けているよ。すでに様々な仕事のできる選手だが、キャリアの中で毎年確実に進歩している」

ハリスはキャリア7年目の29歳だが、若手のようなエネルギーと溌剌とした姿勢が目立つ。2014年の33位指名でキャバリアーズに指名されたが、ほとんどの時期をGリーグで過ごし、2年目にトレードされて解雇の憂き目を見た。その彼と契約したのが前シーズンを21勝61敗で終えていたにもかかわらず、ドラフト指名権を手放しており将来性もない『どん底』のネッツだった。ハリスと同じ時期にチャンスを求めてネッツにやって来た指揮官、ケニー・アトキンソンは、直前まで自分がアシスタントコーチを務めたホークスで活躍していたカイル・コーバーを引き合いに出し、まだ実績のなかったハリスを「ネッツのコーバーになれ」と励ました。

選手の個性を生かすアトキンソンの下でハリスは急成長する。2019年のオールスターでは3ポイントシュートコンテストに初めて出場し、ステフィン・カリーを破って優勝している。2020年のオフにフリーエージェントになるも、「僕にとってはネッツが理想のチーム」と宣言し、4年7500万ドルの大型契約を結んだ。

そして今、ネッツは『ビッグ3』を擁して優勝争いで主役を演じるチームになり、ハリスはそのチームを攻守で支える存在になっている。デュラントはその存在感の大きさを「ジョーが活躍するとチームが動く」との言葉で表現し、ブレイク・グリフィンは「このチームはジョーを含めたビッグ4だ」と言う。

デュラントとアービング、ハーデンがどうボールをシェアされるかが議論されるチームにおいて、他の選手は彼らに合わせるプレーを余儀なくされる。それを苦にする選手は少なくないだろうが、ハリスは「僕のようなシューターにとっては夢のような環境だ」と語る。『ビッグ3』は全員がボールを持ちたがるが、誰一人として利己的ではない。相手の注意を引き付け、その状況を生かすアシスト能力がある。

今のハリスはコーナーでキャッチ&シュートの機会を待つだけの選手ではなく、チームオフェンスに応じて、しかるべきタイミング、しかるべき場所を見いだしてワイドオープンのチャンスを作り出す。レギュラーシーズンを通してフィールドゴール成功率は50.5%とキャリアハイになり、3ポイントシュート成功率はリーグトップの47.5%を記録した。

バックスとのカンファレンスセミファイナル第3戦では、そのハリスが深刻なシュートスランプに陥り、フィールドゴール11本中成功わずか1本の3得点に終わったことでチームは敗れた。しかし、シーズンを通して積み上げてきたハリスの自信は揺るがないし、周囲が彼に寄せる信頼も変わらない。むしろ、ハリスのシュートタッチがこれだけ悪くても1ポゼッション差の接戦に持ち込むことができたことは、特定の選手に頼らないバスケットが機能している証拠だ。

当然、続く第4戦ではハリスの奮起が期待される。それでも、特別なことをする必要はない。しかるべきタイミングでしかるべき場所にいてチャンスを待ち、彼自身が表現する「窓を見付ける」ことに集中していれば、結果は必ずついてくる。

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