カギはトランジションと3ポイントシュート
宇都宮ブレックスは千葉ジェッツとのBリーグファイナル初戦を20点差で落としたが、第2戦は25点差の大勝を収めバウンスバックを果たした。
この圧勝劇を生んだ要因は宇都宮が『宇都宮らしさ』の復活からに他ならない。初戦に明け渡した制空権を支配し、千葉が得意とするトランジションも封じた。セカンドユニットも活躍する文字通りの全員バスケで第3戦へと持ち込んだ。
「自分たちは泥臭いところで勝ってきているので、自分たちの強みをもう一回見つめ直し、プライドを持って戦おうと話した」という安齋竜三ヘッドコーチの言葉を、選手たちはコート上で見事に体現した。ライアン・ロシターは「東地区で優勝し、王者らしくプレーすることを心がけた。自分たちがどういうチームかをもう一度思い出して、その自信を持ってこの試合に臨んだ」と語り、まさに王者の貫禄を見せつけた。
ロシターは常にチームメートに声をかけていたが、第2戦では初戦以上に仲間を鼓舞し続けた。鬼気迫るその姿は『王者』のそれではなく、挑戦者のように映った。「初戦は試合の入りが良くなくて、同点まで持っていけたけど、千葉さんを超えるようなエナジーは出せませんでした。今日はその部分をチームでも話しました。エナジーの部分で勝ち、千葉さんにチャレンジしていくような姿勢で臨めたのが良かった」
『王者』と『挑戦者』。一見矛盾しているように聞こえるが、挑戦者として挑み続けた結果がリーグ最高勝率と東地区王者の称号をもたらした。運命の第3戦でも、そのマインドセットの継続が求められる。
インサイドでアドバンテージを握ったチームが優勢となる
この2戦が証明しているように、インサイドでアドバンテージを握ったチームが優勢となる。だが、千葉の大野篤史ヘッドコーチも「ポゼッションで勝たなければブレックスさんに勝ち目はない」と語っているように、それは互いが理解している。
そのためゴール下は戦場と化し、ルーズボール争いは先の2戦以上に激しさを増すはずで、どちらかが一方的にポゼッションを支配することは想像しづらい。こうなった場合、何が勝敗を分けるのか。安齋ヘッドコーチは具体的な数字を挙げつつ、ディフェンスの重要性を説いた。
「千葉さんの得意なトランジションと、乗っていく3ポイントシュートをやられないことが重要かなと思います。それ以外で言えば、75点ぐらいに抑えることができれば良いゲームができるという感覚があるので、そこを目指してディフェンスをやりたい」
泣いても笑ってもBリーグの2020-21シーズンラストゲームは、横浜アリーナで19時5分ティップオフ。NHK BS1とバスケットLIVEで生中継される。平均70.8失点(リーグ1位)の宇都宮、平均89.0得点(リーグ2位)の千葉。まさに『矛』と『盾』の対決となったが、宇都宮が失点を75点以内に抑えることができるかどうかに注目だ。