勝利した第1戦と第3戦で27得点の爆発
琉球ゴールデンキングスは、第3戦までもつれた富山グラウジーズとのチャンピオンシップ・クォーターファイナルを制して、3シーズン連続となるセミファイナルに駒を進めた。このシリーズ、琉球が勝利した第1戦、第3戦でともに今村佳太は27得点をマークし、勝利の立役者となった。
レギュラーシーズンで今村が20点以上を挙げたのは、10月24日に行われた島根スサノオマジック戦での22得点のみ。琉球にとってはポジティブな意味での大きなサプライズだった。
第3戦の終了後、今村はこう振り返る。「チームメートは自分がオープンになるとパスをくれたり、積極的に使ってくれて、それに少し応えることができました。昨日の反省からもう一度、チームで戦うことができたので、チームの勝利だと思います」
「後がない戦いでしたけど、個人として思い切ってプレーしよう。後悔の残るプレーはしたくないと、吹っ切れた部分が良い方向に進んでくれたと思います」
敗れた第2戦の今村はフィールドゴール13本中3本成功の9得点と低調だった。そこから負けたらシーズン終了となる第3戦で、初戦の爆発力を取り戻せた理由はどこにあったのか。その違いはチームで攻めることであり、あくまで自分はチームオフェンスにおける1つの駒だと強調する。
「昨日は自分の中でシュートは打てていましたが、タイミングがしっくりくるようなシュートではなかったです。チームとして攻めたい部分で第1戦は徹底できていたのが、第2戦はできていなくて、僕の中でリズムが少し狂ったところがあったと思います」
「良かったのは3試合通じて打ち切れた部分。チームで攻めるコンセプトの中で、自分よがりではなく、チームのオプションとしてしっかりやれたのが良かったです」
「今の僕にとって一番大事なのはチャンピオンシップ」
今村は前所属の新潟アルビレックスBB時代にもチャンピオンシップを経験しているが、チームの主力として臨むのは今回が初めてとなる。「正直、楽しもうという感覚はなかったです。移籍で加入してきて結果を出したいですし、その責任はあります。この3戦に関しては、人生で一番と言っていいほど、緊張していました」
大きなプレッシャーを感じていた今村だが、その一方で「その中でも冷静に、自分の立ち位置を見られたのが良かったです。シーズンを通して積み重ねてきたものを出せました」と、落ち着いていたことが3日間で2度の爆発に繋がった。
また、第1戦終了後の会見で、今村は日本代表の五輪代表候補20名に残れなかったことに対して「見返してやろうというメンタリティになりました」と語り、有言実行を果たしたことで注目を集めた。だが、この反骨心も「今はもう意識しなくていいです」と続ける。何故なら、個人的な思いよりも大きなものを背負ってプレーしているからだ。
「代表は僕の1つの目標ですが、今の僕にとって一番大事なのはチャンピオンシップです。今、僕が所属しているのは琉球ゴールデンキングスで、チームのため、沖縄の皆さんのためにプレーすることが大事です。チームの勝利にフォーカスしていきたいです」
千葉ジェッツとのセミファイナルを勝ち抜くためにも、引き続き今村の得点力には大きな期待が集まる。ただ、本人は得点よりも重視していることがある。「アグレッシブなプレーでチームに良いエナジーを与えることが、得点よりも大きいと思っています。個人として、チームが苦しい時にこそ活躍する選手になりたい。そこが僕の中で、次の土日に向けて大切です」
得点なのかハッスルプレーなのか、それがどんな形にせよ、今村が目指すプレーをしっかりと体現できれば、琉球は過去2シーズン連続で跳ね返されたセミファイナル突破がより現実的になってくるはずだ。
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