写真=Getty Images
ティンバーウルブズ 2015-16シーズン成績
29勝53敗 西カンファレンス5位/プレーオフ1回戦敗退
フィールドゴール率46.4%(リーグ7位)
3ポイントシュート成功率33.8%(リーグ25位)
1試合平均得点102(リーグ15位)
1試合平均リバウンド41.6(リーグ28位)

13年ぶりのプレーオフ進出に向け、まずは守備再編に着手

昨シーズンの新人王に満場一致で選出されたティンバーウルブズのカール・アンソニー・タウンズは、早くもNBA史にその名を刻む存在となっている。昨シーズン開幕戦から2試合続けて得点とリバウンドで2桁の数字を記録し、19歳以下(現在は20歳)の選手では史上初となる、開幕から2試合連続ダブル・ダブルを達成。また、過去にはシャキール・オニールしか記録していなかった、20歳で平均18得点、8リバウンド、FG成功率49%以上という成績を残すなど、未来のNBAトップスター選手の最有力候補と言っても過言ではない。

そのタウンズが所属するウルブズは、今シーズン大きな転換期を迎えると言われている。2003-04シーズンを最後にプレーオフ進出を逃し、下位に低迷し続けてきたが、タウンズ、2014年のドラフト全体1位指名選手アンドリュー・ウィギンズ、派手なダンクで会場を沸かすザック・ラビーン、スペインの至宝リッキー・ルビオ、今シーズンの新人王候補クリス・ダンに加えて、実力派センターのコール・オルドリッチ、泥臭いプレーでチームに貢献するジョーダン・ヒルも加入し、新指揮官にはブルズでヘッドコーチを務めたトム・ティボドーが就任した。

昨シーズンのウルブズは、スピーディーかつド派手なバスケで見る者を魅了した。豪快かつ多彩なオフェンスは、NBA30チームを見渡しても他に類のないもので、ウルブズを応援していないにもかかわらず、試合中継やハイライトに思わず見入ってしまったバスケットファンも多いはずだ。

そんなウルブズの問題点は、リーグ下位に低迷した守備にあった。昨シーズンのディフェンス率(100ポゼッションでの平均失点)はリーグ26位(107.1)、ペイント内での平均失点もリーグ27位(46.1)、1試合平均失点でもリーグ23位(106)と、スタッツも守備のもろさを証明している。

ティボドーは守備の構築に定評のある指導者で、ブルズでは就任1年目にして最優秀ヘッドコーチ賞を受賞した。ブルズでの5シーズンで通算255勝139敗を記録した新指揮官の着任により、ウルブズの守備は著しく改善されると見られている。

タウンズは、NBA選手会のHPに掲載されたインタビューで、「今シーズンの目標はプレーオフ進出」と、語った。「何か特別なことを成さないといけない。それを達成できるかどうかは自分たち次第」

ダンはドラフト1位、2位のベン・シモンズ、ブランドン・イングラムを抑えて新人王候補1位に選ばれた。若手とベテランの融合でまずはプレーオフ進出を目指す。

若いチームは伸びしろ十分、西の8強入りを目指す

新人ダンはルビオのバックアップを務めることが有力。昨シーズン後半からシューティングガードのスターターに定着したラビーンも、引き続き先発ラインナップに加わる可能性が高い。フロントコートはウィギンズ、タウンズ、ゴーギー・ジェンという陣容になると思われるが、ケビン・ガーネットの存在も忘れてはならない。

今シーズンも現役を続けることが濃厚なキャリア21年目のケビン・ガーネットから学ぶものはたくさんあるとタウンズは言う。

「KGから学べるのは大きい。彼からシーズンを通して学んで、自分がどういう選手になるかを見たい。僕は自分が今よりもっと優れたリーダーになれると信じているんだ」

2シーズン前の16勝から、昨シーズンは29勝にまで年間勝利数を伸ばした。新チームの戦力、若手の成長、チームケミストリー、新指揮官の手腕が合わされば、40勝は期待できる。

若い選手が多いチームに見られる傾向として、競った勝負をものにする勝ちパターンの構築に手間取るケースが挙げられるが、その点でもガーネットのような百戦錬磨のベテランの存在は大きい。ベンチから声をかけ、コート内で模範を示すことが最高の生きた教材になるからだ。

強豪が集まるウェストのプレーオフ争いはシーズン終盤までもつれるため、苦しい時期を乗り越えられれば、ウルブズも西の8位争いに割って入れるかもしれない。

新シーズンで22年目を迎えるガーネットは若手の指南役としてもウルブズには欠かせない存在だ。

2016-17シーズン ティンバーウルブズ予想ロスター
[PG]
リッキー・ルビオ、クリス・ダン、タイアス・ジョーンズ
[SG]
ザック・ラビーン、ブランドン・ラッシュ
[SF]
アンドリュー・ウィギンズ、シャバズ・モハメド
[PF]
カール・アンソニー・タウンズ、ネマニャ・ピエリツァ、ケビン・ガーネット、エイドリアン・ペイン
[C]
ゴーギー・ジェン、コール・オルドリッチ、ジョーダン・ヒル、ニコラ・ペコビッチ