ニコラ・ヨキッチ

プレーオフ1回戦でレイカーズを避ける気はなし「そうなったら、それでいい」

ナゲッツは西カンファレンスの3位か4位でレギュラーシーズンを終えることになりそうだ。クリッパーズとの3位争いは、どちらが上になってもさして意味はないように思える。ファンが気にしているのは、5位から7位が1ゲーム差の激戦になっており、そこにレイカーズがいることだ。

サンズ、ジャズ、クリッパーズ、ナゲッツ。西の上位4チームすべてが前年王者レイカーズとの対戦を避けたいはず。レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスのコンディションが整わずに低空飛行を続けているレイカーズだが、プレーオフになれば実績と経験がモノを言うはず。少なくとも1回戦で当たりたい相手ではない。

昨シーズンのカンファレンス・ファイナルで1勝4敗と完敗を喫したナゲッツなら、なおさらそう思うことだろう。しかし、ニコラ・ヨキッチは逆の意見を持っている。先日の会見でレイカーズと当たる可能性を問われると「そうなったら、それでいい」と答えた。「だって、そうだろう? 優勝したければ一番強いチームとやる必要がある。組み合わせで恵まれようという考えにはならないはずだ」

チームの戦いにおいては勝利に貪欲な姿勢を見せるヨキッチだが、個人賞となると一転して興味がなさそうだ。興味がないわけではないにせよ、シーズンを戦う中で何度もこの話題になることに飽きてしまった様子。「個人賞を目標にはしていないから。MVPはファンやメディアがストーリーを作るもので、僕としては『そうなったら、それでいい』って感じ。僕はいつも自分より優れた相手に勝ちたいというメンタリティで試合に入っている。いつだって僕はアンダードッグなんだ」

この慎み深い態度は、どの選手でも同じというわけではない。レブロン・ジェームズはMVPに選ばれないことにしばしば不満を漏らしている。今シーズンのMVP候補では、セブンティシクサーズのジョエル・エンビードが「僕はMVPに値する」と発言しているし、最近ではファンからMVPコールを受けるニックスのジュリアス・ランドルも「遠慮するつもりはない」と語っている。

ここまで65試合に出場し、26.3得点、10.9リバウンド、8.5アシストを記録しているヨキッチの数字はMVPに値する。4位以内を確保するナゲッツを引っ張る中心選手で、もう一人のエースであるジャマール・マレーがケガで戦線離脱したにもかかわらず戦績が落ちないことも、彼の存在感を強めている。エンビードやレブロン、ジェームズ・ハーデンは多くの試合を欠場しており、シーズンを通しての活躍を考えるとインパクトが弱い。第2の全盛期を築いてリーグトップの31.5得点を記録するステフィン・カリーはチーム成績が物足りない。

ほとんどの試合に出場し、チーム成績が良く、個人成績も残しているという点で、ヨキッチと比較対象になるのはランドルぐらい。24.2得点、10.3リバウンド、5.9アシストというスタッツは立派なものだが、すべてヨキッチを下回る。ニックスを引き上げたスター選手であることに異論はないが、MVPとなれば「来シーズンに期待」となるだろう。もっとも、それはヨキッチにとってはどうでもいい話。ヨキッチがランドルに勝ちたいと思うのはMVPレースではなく、今日の試合だ。