文・写真=泉誠一

フジテレビに続々とバスケ番組やBリーガーが登場

8月16日時点でBリーグ開幕戦の一般販売が終了し、1カ月以上前にチケットは完売の盛況ぶり。今週末9月10日より急きょ追加チケットが発売される。

新たなる歴史の幕開けを心待ちにされているファンは多く、会場を埋めるファーストミッションはすでに達成された。

さて、今日からちょうど2週間後、9月22日(木・祝)に開催されるアルバルク東京vs琉球ゴールデンキングスの記念すべき開幕戦は、フジテレビにて生中継される。ゴールデンタイムに地上波で生中継されるなんて、筆者が高校生の頃だから……28年ぶり!?

1980年代、NCAAディヴィジョン1のチームが来日して行われたサントリーボール(後のフェニックスボール)は、日本テレビが生中継を行ったと記憶する。会場はサンロッカーズ渋谷と同じ青山学院大学記念体育館。

今では当たり前だが、ペイントエリア内がカラーに塗られ、センターサークルにロゴが施されることなどなかった時代。入り口からスポットライトで照らされた異空間が広がり、アリーナというものを初体験した。それまで何度も日本代表戦やトップリーグの試合を見てきた代々木第二体育館とは全く違うきらびやかさ。足を踏み入れた瞬間に別世界へ誘われた感覚を今でも覚えている。

サントリーボールを盛り上げるため、バスケのルールを知ってもらうために事前番組を多く仕込みながら、来日するチームや選手が紹介されたことで情報がインプットされ、その度にワクワクさせられた。

いよいよ、日本のバスケットボールリーグがゴールデンタイムでの地上波に初めて踏み込む。

すでにフジテレビでは深夜帯にBリーグ選手が登場し、ちょうど2週間前となる9月8日(木)19時から放送される『vs嵐』には田臥勇太、竹内公輔、竹内譲次が出演。9月19日(月)~21日(水)の開幕前日までは、『バスケも恋も、していたい』なるオリジナルドラマで盛り上げるようだ。『ブザービート』同様に選手の出演はあるか!?

「見てもらえば面白さが分かってもらえる……」と嘆き続けたバスケファンにとっては待望の機会。ゴールデンタイムの地上波で、どれだけの数字が残せるだろうか。

視聴率という『スタッツ』を残すことが最重要課題

「バスケを一度見てもらえればその楽しさを分かってもらえるのに……」とは、これまで選手や関係者が嘆き続けてきた言葉だ。そのチャンスをついに得た。これを成功させなければ次はない。そのためにも視聴率という『スタッツ』を残すことが最重要課題である。

基準値となるのはJリーグ開幕戦のヴェルディ川崎vs横浜マリノスだ。1993年5月15日、NHK総合で放送された試合中継の平均視聴率は32.4%だった。

23年経った今なお、Jリーグ視聴率のトップはこの開幕戦のまま。ベスト15までのいずれも1993年と翌1994年に中継された試合で占められているのは残念なところだ。ではバスケはどうだろうか。これまでもオールジャパン男女決勝はNHK Eテレにて地上波放送されてきたが、日曜や祝日の昼下がりとあって視聴率は1%前後だったと聞く。

テレビを見る環境が変わった今、32.4%という驚異的な数字は高すぎるハードルとなっている。1年前の同時期のスポーツ中継の視聴率を見ると1位が大相撲秋場所(16.9%)、2位ラグビーワールドカップの日本vsスコットランド(14.6%)、3位(12.5%)と4位(10.8%)はボクシングの世界戦と続く。もう一つの例として、今シーズンのプロ野球開幕戦の巨人vsヤクルト戦の視聴率は10.4%だった。

来たるべきBリーグ開幕戦、2桁は必須であり、なんとか20%を狙いたい。

9月22日のテレビスケジュールはまだ分からないが、激しい優勝争いを繰り広げているプロ野球のソフトバンクvs日本ハムがその日に予定されている。もし、全国ネットでテレビ中継されれば強力な対抗馬になるだろう。ティップオフの時間帯には『ポケットモンスター』を始め、『ぐるぐるナインティナイン』や『黄金伝説』といった人気バラエティ番組がライバルとなる。

開幕戦はハッキリと数字が現れるフジテレビで観戦し、視聴率を高めることが、Bリーグとバスケットボールファンに託されたセカンドミッションとなる。9月22日は、継続的なバスケ中継を切り拓いていくターニングポイントなのだ。

見てもらえば楽しいことを証明するためには好ゲームが必須の要素。『一見さん』を釘付けにするダンクや確率高くネットを揺らすような、これまでとは違うプレーを見せることが、3つめのミッションとして選手たちに要求される。

9月8日(木)深夜にトルコとのパラリンピック開幕戦を迎える臨む車椅子バスケットボール男子日本代表の戦いも、NHK総合にて生中継される。かつてないほどバスケがテレビに登場する9月。高視聴率を叩き出すためには、これまでテレビ放送を待望していたファンの『結束』が必要だ。