川崎ブレイブサンダース

終盤まで拮抗するもビッグラインナップが勝敗を分ける

川崎ブレイブサンダースが、ホームで千葉ジェッツと対戦。終盤までどちらが勝つか分からない激闘となったが、ビッグラインナップで守備の立て直しに成功した川崎が80-73で勝利。東地区上位対決で同一カード連勝を達成した。

第1クォーター、川崎はパスミスが目立ちこのクォーターで5つのターンオーバーを喫するが、千葉はオープンシュートを決めきれずフィールドゴール14本中4本成功に留まる。ともにオフェンスがうまくいかず、川崎の15-14とロースコアの立ち上がりとなった。

第2クォーターに入ると、千葉はセバスチャン・サイズの得点、スティールと攻守に渡る活躍もあり7連続得点で逆転に成功する。川崎も青木保憲の3ポイントシュートで嫌な流れを切ると、藤井祐眞の持ち味の激しいディフェンスによるスティールからパブロ・アギラールが速攻を決める好プレーも飛び出した。

しかし、千葉はこのクォーターで8本中6本成功と3ポイントシュートが火を吹き、終盤に原修太、サイズが連続で3ポイントシュートを沈め44-38とリードして試合を折り返した。

「後半のビッグラインナップのディフェンスが素晴らしかったです」と佐藤賢次ヘッドコーチが振り返ったように、第3クォーターの最初から起用した強力オプションで川崎が主導権をつかんだ。千葉の積極的なインサイドアタックを防ぐことで、流れを引き寄せるとゴール下で着実に加点。さらに、アギラールがボールを運ぶシャノン・ショーターからスティールし速攻でダンクを決めると、ニック・ファジーカスも加点し、58-48と突き放す。

しかし、千葉はここでタイムアウトを取ると、直後の攻撃で富樫勇樹が3ポイントシュートを決め、ジョシュ・ダンカンの連続得点で3点差まで盛り返した。第4クォーターは僅差で推移する白熱の展開が続くが、ここ一番で川崎は再びゴール下の優位を生かしヒース、ファジーカスがインサイドで連続得点。さらにヒースのオフェンスリバウンドからのセカンドチャンスで、アギラールが3ポイントシュートを沈め残り1分50秒で5点のリードを奪った。24得点を挙げたこのアギラールの長距離砲が決め手となり、川崎は昨日に引き続き千葉に競り勝った。

川崎ブレイブサンダース

大野ヘッドコーチ「相手のペースに合わせてしまいました」

先週、川崎は秋田ノーザンハピネッツとのホームゲームを1勝1敗で終えたが、この2試合はともにビッグラインナップが機能したとは言い難かった。それが、千葉との大一番では2日連続でチームに勝利をもたらす大きな要因となった。特に今日はビッグラインアップで通した第3クォーターの失点を11に抑えた。この見事な変貌の理由を、指揮官はこう語る。

「秋田戦のビッグラインナップは、相手に非常に的を絞ったディフェンスをされてうまくいかなかったです。その課題を受けどういう風に細かいことを工夫し、徹底すればいいのかをチームで共有し、今週の千葉戦に生かせました」

「あの負けからの気づきを共有し、成長できました。また、昨日はオフェンスリバウンドを支配され、今日も前半は多く取られたのが、後半は4本に抑えました。このチームは全員が課題を受け止めて前に進めると、あらためて思いました」

一方、千葉は新型コロナウィルスへの陽性反応が検出されたことによる約3週間のブランク明けから、3連敗となってしまった。大野篤史ヘッドコーチは「それぞれの試合でいろいろな原因がありますけど、もったいないミスが目立つのと、ボールが動かないのが一番の要因だと思います」と語る。

そして、今日は自分たちの強みである速さを発揮できなかったと続ける。「チープなターンオーバーと、ビッグラインナップに対して相手のペースに合わせてしまいました。自分たちのペースを強調していかなければ、高さのあるチームに対して勝つことは難しいです」

もちろん3連敗は厳しい結果だが、コンディションが本調子と言えない中でサンロッカーズ渋谷、川崎とリーグ上位相手に互角の戦いを繰り広げたことで、千葉は負けてなお強しの印象を与えた。ここから残り9試合とチャンピオンシップに向け過密日程ではあるが、見方を変えれば試合勘を取り戻す機会は十分にある。

川崎にとってこの2連勝は大きな自信をもたらすものとなったが、自分たちが千葉を破ったことで皮肉にも宇都宮の地区優勝が決まった。「我々がシーズン前に目標として掲げていた地区優勝が、今日、うちが勝ったことでなくなりました。そこに悔しい気持ちはありますが、1つ上の順位に向けて、一つひとつ勝ちを重ねることは変わらないです」

佐藤ヘッドコーチがそう語るように、チャンピオンシップのクォータファイナルでホーム開催となる東地区2位に向けて気持ちを切り替えるしかない。来週は宇都宮とアウェーでの連戦が待ち受けている。