川崎ブレイブサンダースの強力コンビ「優勝は一番欲しいもの」
天皇杯の準決勝、川崎ブレイブサンダースはシーホース三河に79-67で勝利し、2年連続となる決勝への切符をつかんだ。この試合、川崎は前半に主導権を握って15点のリードを奪ったのが最大の勝因で、佐藤賢次ヘッドコーチはこう振り返る。
「前半、ディフェンスで遂行力を高くプレーできました。オフェンスは相手がどう対応するか予測が難しい中、準備をされる前に起点を作る。打たされたシュートにならないように、自分たちから仕掛けて打ちにいきました。そこでJ(ジョーダン・ヒース)がチームで作ったチャンスに打って決めてくれたのが大きかった」
そして指揮官は、「コートに出た選手が途中から自分たちで判断し、調子が良い選手に打たせようとしてくれました。そこのゲームコントロールが良かったです」と選手たちの判断力を称える。
また、第4クォーターに三河の追い上げを浴び、15点リードが一時は6点差に縮まれた時も、選手たちの修正能力に助けられたと感謝している。「6点差となった場面でタイムアウトを取ろうと思いましたが、一瞬迷って取れませんでした。ここで選手が頑張ってくれました。試合が終わってから北さん(北卓也)に『迷ってはダメだ』と怒られてしまいました」
佐藤ヘッドコーチが語ったように、ヒースは序盤から第1クォーターだけで4本の3ポイントシュートを沈め14得点と長距離砲が爆発。試合全体で26得点11リバウンド3ブロックの大活躍を見せた。そのヒースは「アグレッシブに行くことを心掛けてシュートを決めることができた」と語る。ただ、勝利の余韻に浸ろうとはしない。
「去年、あと一歩及ばずに優勝できなかったことは苦い思いとしてまだ残っています。今は気分が良いですが、明日には決勝があるので、まだお祝いする時ではないです」
「ここまで来たら『やってやるぞ』の気持ち」
また、6点差と迫られた直後、3ポイントシュートのファウルを獲得。3本すべてを決めて悪い流れを断ち切った藤井祐眞は、「最初から全部を出し切り、疲れた交代するくらいの気持ちを持ち、オフェンスで走り、ディフェンスをハードにしました」と語る。
昨年の天皇杯、藤井はベスト8で大活躍をしたが、直後にインフルエンザが判明し、準決勝と決勝では無念の欠場となった。ただ、本人は「今日はそういうことは考えませんでしたが、試合が終わった後、みんなに早くシャワーを浴びて着替えて、温かい格好をしろと茶化されました」と明かす。そして12得点5リバウンド4アシスト1スティールと、いつもの藤井らしいエナジー満点のプレーでチームに勢いをもたらした。
リーグ屈指の強豪である川崎だが、Bリーグ開幕以降はあと一歩のところでタイトルを逃し続けている。ただ、藤井は過去の経緯を意識しない。「優勝は一番欲しいもので、ここまで来たら『やってやるぞ』の気持ちです。昔のことは考えずに、明日とにかく楽しんで優勝したい。ただ、それだけです」
宇都宮ブレックスも十分な強さを見せて決勝へと駒を進めた。藤井とヒースのワンツーパンチの炸裂は、川崎にとって明日も欠かせない要素となる。