ジュリアス・ランドル「気を引き締めていくよ」
ニックスは平均得点がNBAで29番目の104.7、平均失点がリーグで最も少ない104.4のチームで、まずは相手のオフェンスを止め、そこから粘って勝利を引き寄せるスタイルだ。しかし、2月25日のキングス戦では、今シーズン2番目に多い121失点を喫しながらも大量140得点を奪って圧勝した。
オールスターに選ばれたジュリアス・ランドルが21得点14リバウンドでチームを支えたが、ハイテンポな打ち合いを制する上では25得点のイマニュエル・クイックリー、24得点のアレック・バークスを筆頭にベンチメンバー7人が71得点と総得点の半分を挙げたことが大きい。フィールドゴール成功率は58.6%、3ポイントシュートは36本中19本成功(52.8%)と驚異的な決定力をチーム全体が発揮した。
ジュリアス・ランドルは「今日は楽しかった」と笑顔で試合を振り返る。「相手のディフェンスもかなりプレッシャーを掛けてきたけど、チームでボールを動かして良いチャンスを作った。スタメンとベンチの2つのチームがどちらも機能した感じだね」
クイックリーはチーム全体のシュート確率が良かった理由を「ボールがよく動いていたから」と語り、こう続けた。「それは僕らがお互いを信頼し合ってプレーできているからだと思う。チームとして動いて、エキストラパスを狙っている。それぞれが個々練習でシュート力を磨いてきた成果でもあるよね。オフェンスだけじゃなくディフェンスでも僕らはステップアップしている手応えがあるよ」
アグレッシブに攻めて、多少強引なシュートでもねじ込むクイックリーは、相手のファウルを受けながら3ポイントシュートを沈める4点プレー、そして12本のフリースローすべてを沈める勝負強さを見せた。彼はすでにマディソン・スクエアガーデンの人気者となっており、この試合の第1クォーター途中には、ファンがクイックリーの名前をコールして指揮官のトム・シボドーに投入をうながした。「ケンタッキー大の時にもそんなことはなかったから、ベンチで笑ってしまったよ。マスクを着けていたからバレなかったと思うけどね。ありがたいけど、僕は浮かれないようにクールでいなきゃならなかった」とクイックリーは言う。
この日、トム・シボドーは「プロセスも結果も同時に追い求めていく」と宣言した。「プレーオフのことは意識するが、目の前の試合に集中したい。チームに良い習慣を築き上げたいんだ。たくさん練習しなければならないし、相手の研究もする。それを軽視して先のことを見すぎると、崖から転がり落ちることになる」
ニックスは過去7シーズン連続で勝率が5割に届かず、プレーオフ進出を逃している。今シーズンこそ好調で東カンファレンス6位につけているが、それは『西高東低』の現状があるからで、まだ16勝17敗と勝率5割ラインの下にいる。勝ち越した状態をキープできればプレーオフ進出は現実味を帯びてくるし、その先も狙える。この試合でのシュートタッチは良すぎるほどに良かったからこそ、ランドルは「僕らがやっている競技は浮き沈みがあるものだから、気を引き締めていくよ」と語った。