「明らかにNBAカップにおいては大きな意味がある」

今オフのNBAを代表する出来事の1つが、クレイ・トンプソンのウォリアーズからマーベリックスへの移籍だった。2011年ドラフト全体11位指名でウォリアーズに加入後、ステフィン・カリーとの名コンビで数々の栄光をつかみとったトンプソンの離脱は、サラリーキャップなどいろいろな状況を加味すると驚きではなかったが、それでもウォリアーズファンにとって悲しい離脱となった。

ただ、ウォリアーズの永久欠番になるような多大なる功績をもたらした彼は、今でも多くのファンに愛されているのは間違いない。そして現地12日、彼は移籍後、初めてウォリアーズのホームに凱旋を果たす。

『NBC Sports』によると、多くの注目が集まる一戦についてトンプソンは「一緒に戦ってきた人たちと会えるのは良いことだ。ただ、僕にとっては11月に行われるレギュラーシーズンの1つの試合に過ぎない」と特別な感情を抱くつもりはないと語る。

そして個人的な背景と関係ない部分で、この試合を重要視している。「明らかにNBAカップにおいては大きな意味がある。それが僕の頭の中にあることだ。まだ、NBAカップは勝っていない。大会の歴史は浅いのは分かっているけど、このタイトルのために戦うよ」

このようにトンプソンが平静を強調しているのは、現在の個人のパフォーマンスとチーム状況が関係しているかもしれない。ここまでトンプソンは10試合出場で平均30.1分のプレータイムと序盤からフル稼働できているのは明るい材料だが、1試合平均13.8得点、3ポイントシュート成功率35.4%と内容は決して良くない。また、チームも現在5勝5敗、ここ4試合では1勝3敗と、優勝候補の一角としては苦しんでいる。今の彼は、かつての盟友との再会を楽しむより、個人のパフォーマンス向上に集中しないといけない状況だ。

一方、トンプソンが去り、代わりに大物スター選手の獲得もなかったことで下馬評の低かったウォリアーズは8勝2敗とスタートダッシュに成功。皮肉にもトンプソンが抜けたスターパワーの低下によって、コート上の5人がボールに絡む連動性のあるチームオフェンスを取り戻し、的を絞らせないことで得点を量産している。

トンプソンが、古巣対決で自身の価値をあらためて証明し、浮上のきっかけをつかめるのか。それともウォリアーズが好調を維持するのか。凱旋試合に注目が集まる。