「一瞬でもいいから気を紛らわせたかった」
セブンティシクサーズのドワイト・ハワードは、NBAキャリア17年目を迎えるベテランセンターだ。過去の言動から『トラブルメーカー』というレッテルを貼られていたが、昨シーズンに所属したレイカーズではエゴを捨て、セカンドユニットとしての役割を受け入れることで再起を果たし、キャリア初のNBA優勝を成し遂げた。
オフシーズンにフリーエージェントになったハワードは、レイカーズとの再契約を希望していたが話はまとまらず、自分を必要としてくれたシクサーズへ移籍した。今シーズンは平均プレータイム16.7分で5.9得点、7.7リバウンドを記録し、エースのジョエル・エンビードを支えるバックアップメンバーとしてチームに貢献している。
ここ最近のバスケットキャリアだけを見ると順調に思えるが、私生活では昨年の3月に当時6歳だった息子の母親をてんかんの発作により31歳という若さで亡くした。そして先日、彼は父方の祖母を亡くした。
ハワードが祖母の死を知ったのは、現地2月15日に行われたジャズ戦の直前のこと。指揮官のドック・リバースによると、ハワードはその日、試合前の練習を休み、アリーナにも18時頃まで姿を見せなかったという。リバースは「私は彼に『今日はプレーしなくてもいい』と言ったんだ。そうしたら彼は『僕はフロアにいたい。部屋の中で座っているよりそっちがいい』と言ってきた」と、その日のハワードの様子を明かした。
ハワード本人は「祖母の訃報を聞いた時、今日はプレーするのが難しいと思った」と当時の出来事を語った。「いつも通りのプレーができるかどうかは分からなかったけど、チームメートが僕を必要としてくれていることは分かっていた。それに僕も彼らを必要としていた。チーム、コーチ、そして仲間が僕に愛情を注いでくれていて、それに救われた。僕は外に出て、できる限りのプレーをしようと思った。そして、僕の人生で何が起きても、このチームに僕のすべてを捧げるということを、みんなに伝えたかったんだ」
シクサーズは123-134とジャズに敗れたものの、ハワードは26分の出場でシーズンハイの14得点とゲームハイの12リバウンド、1ブロックを記録した。ハワードは「一瞬でもいいから気を紛らわせたかった」と振り返る。「祖母は97歳と長生きしてくれたけど、最後に祖母のところに行くことができなかった。せめて最後にもう一度会いたかったし、話だけでもしたかった。でも、きっと祖母は僕がプレーすることを望んでいたと思う。僕の試合を全部見てくれていたし、僕も祖母のことばかりを考えてプレーしていたよ」