「アジアカップを楽しみにしていたので悔しかった」
ともにチャンピオンシップ進出を狙う富山グラウジーズと大阪エヴェッサの第1戦。富山は年末から10勝2敗と好調、大阪も千葉とSR渋谷、三河と上位陣との連戦を3勝2敗で勝ち越しており調子を上げている。
終盤戦を見据えて両チームとも負けられないだけに、序盤からインテンシティの高い攻防となる中、開始5分で大阪のジョシュ・ハレルソンがジュリアン・マブンガにファウル。ハレルソンはこの判定を巡ってカッとなり、審判への抗議でテクニカルファウルも取られてベンチに下がることに。さらには第3クォーターに再びコートに入ったものの4分間でファウル2つ、そしてベンチに下がった後にテクニカルファウルをコールされて、プレータイムが9分に満たないままファウルアウトになってしまった。
両チームともアグレッシブにプレーする状況で、大阪がインサイドの守備の要であるハレルソンが使えなかったことで、試合はオフェンス偏重の打ち合いに。リーグNo.1の得点力を誇る富山にとっては望み通りの展開だったはずだが、打ち勝ったのは大阪だった。ペースの速い攻防の中で橋本拓哉とアイラ・ブラウンのランニングプレーが生き、ディージェイ・ニュービルも流石の得点力を発揮。立ち上がりこそハレルソンのファウルトラブルで少々落ち着かなかったが、第1クォーターのうちに逆転に成功し、そこからほとんどの時間帯で自分たちのペースで試合を進めた。
後半開始早々、アイラの足元に転がるボールに宇都直輝がダイブするなどハッスルプレーもあった富山だが、波があって大阪に追い付けない。これは選手層の差も大きかった。マブンガとジョシュア・スミスに攻めが偏る富山に対し、大阪は橋本、伊藤達哉、ギャレット・スタツとベンチメンバーも含めて攻めで仕掛けられる選手が多い。アイラやニュービールが36分半プレーしたのに対しマブンガのプレータイムは30分に満たなかったが、終盤に疲れが見えたのはマブンガだった。
そして、何よりも違いを作り出したのは橋本拓哉のパフォーマンスだ。フィールドゴール17本中11本を決め、フリースローは8本すべて成功。さらには6アシストも記録。スピードに乗ったアタックから、ゴール下で外国籍選手に守られて十分な体勢でなくてもフィニッシュをきっちりと沈め、得点をキャリアハイの34にまで伸ばした。
その橋本は日本代表に招集されており、本来ならばこの富山戦は欠場してアジアカップ予選に向けた準備をしているはずだった。ところが新型コロナウイルスの感染拡大により、カタールでの大会自体が中止に。これを受けて日本代表は解散となり、橋本はチームに戻ってこの試合に出場した。「僕自身もアジアカップを楽しみにしていたので悔しかったんですけど、その分をリーグ戦にぶつけることができました」と橋本は語る。キャリアハイの34得点については「気付いたらそれぐらい行っていたのでビックリしています。シュートタッチは良かったですし、味方がチャンスを作ってくれて、決められて良かったです」とのこと。
好調の富山に完勝したことで、大阪は新たな自信を得られたはず。ただ、この自信をより確たるものにし、チャンピオンシップへとさらに前進するには明日の第2戦にも勝ちたいところ。それでも富山も東地区の強豪に追われる立場で、連敗は許されない。より激しくなるであろう明日の試合にも期待したい。