「金丸がいなくても35点取れたのは今後のチーム力を高めていく上で良い材料」
シーホース三河は、2月6日、7日の川崎ブレイブサンダース戦に敗れ、同一カード連敗を喫した。6日の試合終了後、三河の鈴木貴美一ヘッドコーチが「コンディショションが悪く、身体にキレがない」と語ったように、今は三河にとって我慢の時期と言えるだろう。
ただ、その中でも過去2シーズンとは違う粘り強さを見せていることも確かだ。6日に30点差で敗れた三河は、7日も第3クォーターを終えて14点差をつけられていたが、ここから猛追し、第4クォーター残り1分49秒には同点に追いつく見せ場を作った。
この反撃を導いたのが川村卓也で、この試合の第4クォーターには前述の同点3ポイントシュートを含む11得点と健在ぶりを見せた。それでもあと一歩、勝利に届かなかった試合を川村はこう振り返る。
「昨日の30点差の敗戦からしっかりと気持ちを切り替えて、第1クォーターからチームとしてはやれていたと思います。その中で相手のストロングポイントである(ジョーダン)ヒース選手のダイブに対してのケアを試合を通してできなかったことが、苦しい時間帯に繋がった印象があります」
そして、第4クォーターの追い上げについて語る。「10点以上のビハインドを背負っている中でゲームを立て直すには、みんなが点数に絡んでいくこと。金丸(晃輔)ばかりをみんなが見てしまい、そこでシュートを決められないと昨日みたいな敗戦に繋がると思います。今日の第4クォーターはフリースローの数も多かったですが、みんながバランス良く、広いスペーシングを取る。そこで柏木(真介)さん、(ダバンテ)ガードナーのペイントアタックからのキックアウトと効率の良いバスケットをできたことが、このクォーターで35点を取れたことに繋がったと思います」
「ビハインドを背負ってからこれをやるのではなくて、ゲームのリズムを作る上で前半からそういうバスケットボールができればもっと良い形になります。第4クォーターだけに関すると、金丸がいなくても35点取れたのは今後のチーム力を高めていく上で一つ良い材料だったと思います」
「敗戦で見えた課題をベテランの立場としてしっかり伝える」
三河といえばガードナー、金丸に川村とスコアラーが揃うリーグ屈指の攻撃力を誇っている。ただ、「僕たちがいくらオフェンシブなチームであっても、90点台のゲームをやっていると勝つのはなかなか難しくなってくると思います」と川村はディフェンスの改善が不可欠と強調する。
「これからの改善点としてディフェンスの強度を上げたり、チームとしての連携を再確認した上で次のゲームに備えるというのは非常に重要なことです。いくらオフェンシブな選手が揃っていても、決めて決められてを繰り返していたらどこかでリズムが崩れてしまう。それでは今日の3点差のように、小さいように見えて大きなビハインドというのを詰めていけないと思います。みんなが集中できなくなった時にディフェンス力がガタって落ちているのが今のチームなので、それを1分でも2分でも短くしないといけないです。詰められる部分はたくさんあると思うので、そういうのを一個一個消していってステップアップすることが重要です」
これで3連敗となってしまった三河だが、今日は大阪エヴェッサ、さらに週末にはアルバルク東京、27日、28日には宇都宮ブレックスとタフな日程が続く。川村は待ち構えている強豪との試合をこうとらえている。
「東地区の上位チームに勝てないとチャンピオンにはなれないので、無下にはできないなと僕は思っています。同一カードの連敗は今シーズンは今回が初めてですけど、ちょっとここまで出来すぎていた部分もあったのかなと思います。今日の敗戦で見えた課題をベテランの立場としてしっかり伝えて、コミュニケーションを取っていろんなことを学んだ上で強豪に臨みたいです」
60試合の長丁場では、どんなチームでも調子の波があるものだ。そして状態が悪い時に出てくる課題をしっかりと成長の糧にできるチームが最終的に栄冠をつかむことができる。
「この連敗をチームが良くなっていくための大きなきっかけにしたいと思っています」
川村がこう語るような成長を遂げられるかは、シーズン後半戦の三河の行方に大きな影響をあたえる要素となるだろう。