大きな補強はなくても層の厚いチームに
開幕から4勝4敗とスタートは出遅れたものの、11連勝もあってジャズは16勝5敗でリーグ首位に立っています。好調の最大の要因は『健康』で、主力の欠場が少なく、プレータイムもシェアできているため、過密日程の中でも安定した戦いが光ります。昨シーズンは新型コロナウィルスの感染者を一番初めに出してしまったチームだけに、対策強化が他のチーム以上に進んでいるのかもしれません。
近年は欠場が多かったマイク・コンリーもここまで全試合に出場しており、しかも出場時間における得失点差がリーグ最大と首位に立つ原動力として、ルディ・ゴベアとともに極めて重要な働きをしています。オフに目立った補強がなかったジャズですが、層が厚くなったことでローテーションを見直し、コンリーとゴベアをコンビで起用する形を採用しました。普段はオフェンスの主役ではない2人ですが、自分たちが中心になる時間帯が明確になったことで、迷いのないプレーが好結果に繋がっています。
スターターとして出場しますが、第1クォーター中盤にはベンチに下がり、再びコートに出る時間帯には相手がセカンドユニットになっていることが多く、ゴベアの『高さ』という圧倒的な武器をコンリーが上手く利用し、鮮やかなアリウープパスが増えてきました。ドライブ時に相手センターの位置を見極めて、アリウープパスを出すか、自分でシュートに行くかの判断が良くなったことで、コンリー自身のショートレンジのシュート成功率も35%から51%に大きく改善しています。2年目となりコンビプレーが成熟したことが相乗効果を生んでいます。
コンリーがオフェンス以上に改善したのがディフェンスで、49%だった被フィールドゴール成功率が40%まで向上し、強固なディフェンスを作り上げています。最大の特徴はリング周辺での被アテンプトが減った事で、ジャズ特有の『ゴベアの周囲に追い込む』チームディフェンスが効力を発揮するようになりました。昨シーズンはコンリーのディフェンスがジャズの穴になっていましたが、一気に強みに変化したことになっており、単なる連携強化だけでなく、コンリー自身のコンディションの良さを感じさせます。
一方でエースのドノバン・ミッチェルとボーヤン・ボグダノビッチは、3ポイントシュートは好調なものの、ともにペイント内でのフィールドゴール成功率が悪く苦戦しています。それでも、勝利という結果が出ていることもあって、ローテーションを崩さずに戦ってきたことで、コンリーとゴベアのコンビはますます機能性を高めています。
コンビとして連携が強みになっているだけに、チームとしても同じ形で戦い続けたいはず。タフなスケジュールが続く中でも、コンディションを維持していくことが首位キープに最も重要な要素になっています。