第3クォーターに16本のフリースローを獲得し試合を支配
アウェー6連戦を終えた川崎ブレイブサンダースがホームにサンロッカーズ渋谷を迎えた一戦。後半開始時に起用したニック・ファジーカスとパブロ・アギラール、マティアス・カルファニのビッグラインナップが機能し、ターンオーバーからの得点でも上回った川崎が86-73で勝利し、SR渋谷の連勝を8で止めた。
SR渋谷は大黒柱のライアン・ケリーが欠場となったが、8本のオフェンスリバウンドを奪い、セカンドチャンスポイントで繋いで第1クォーターを19-19の互角で終える。
だが、第2クォーターに入ると、藤井祐眞を筆頭にディフェンスのインテンシティで上回った川崎がペースを握る。ボールマンへのプレッシャーを高め簡単にエントリーさせないことで、SR渋谷オフェンスを停滞させた。このクォーターは互いに5スティールを奪い合ったが、川崎はそのほとんどを得点に繋げた。さらに第1クォーターでは7本放ったすべての3ポイントシュートが外れたが、このクォーターでは6本中3本を成功させたことで、44-37とリードして前半を終えた。
そして、後半開始と同時に『オン3』を起用したことで川崎が主導権を完全につかむ。ファジーカスとアギラールに外国籍選手がマークすることで、カルファニに必ずミスマッチが生まれた。カルファニはポストアップし高さの利を生かして得点。ヘルプに来れば、パスをさばき、オフェンス優位な状況を次々と作り出していった。
SR渋谷はイージーシュートを防ぐべくファウルを多用。しかし、これが裏目となり、5分以上を残しチームファウルが5に到達してしまう。伊佐勉ヘッドコーチも「ファウルが溜まるのが早すぎた。そこでフリースローを結果的に30本近く打たれているので、フリースローの数は問題」と語ったように、このクォーターだけで16本ものフリースローを与え、15本成功と高確率で決められたことで点差が開いていった。
そして、第3クォーター残り2分35秒、川崎はジョーダン・ヒースが速攻を決めて69-49と、この日最大となる20点のリードを奪った。あきらめないSR渋谷の反撃を受けるも、最後まで2桁以上のリードを保ち快勝した。
「自分たちのやりたいディフェンスで最後まで戦えた」
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは試合後、「お互いにプレッシャーディフェンスを信条としているチーム同士の戦いということで、ボールマンへのプレッシャーだったりディナイだったり、目の前にいる相手とのバトルに全員が一つずつ勝とうと話して臨みました」と語った。選手は指揮官の言葉を見事体現し、SR渋谷から19ものターンオーバーを誘発。佐藤ヘッドコーチも「自分たちのやりたいディフェンスで最後まで戦えたという意味では攻め切れたと思う」と満足気に答えた。
また、後半開始時に起用したビッグラインナップについては狙い通りの効果があったと語った。「こちらのペースに仕向けていくことが狙いで、ゲームチェンジの役割を期待しています。本来は激しいディフェンスからペースを作っていくスタイルですけど、ゾーンだったりスイッチディフェンスだったり、相手が対応するのに指示を変えなきゃいけないような流れを作ることができました」
一方、SR渋谷の伊佐ヘッドコーチは「数字が物語っているように、ターンオーバーの数とそこからの失点が多すぎました。あれでは川崎さんはもちろんのこと、どことやっても勝てないのかなと。ターンオーバーの質が悪すぎて、話にならない感じです。完敗でした」と、やや呆れた様子で試合を振り返った。
伊佐ヘッドコーチがターンオーバーについて「質が悪い」と語ったように、この試合ではリスタートからのスローインやガードへ戻すパスを狙われるなど、確かに軽率なミスが目立った。その結果、ターンオーバーから25失点、速攻から20失点とイージーシュートを多く許したことが敗因となった。伊佐ヘッドコーチは言う。
「ディフェンスの良いチームですし、プレッシャーはかかっていると思う。だからこそ、ボールを丁寧に扱わないといけないのに安易にパスをしてしまった。東地区でああいうパスミスをするチームが他にあるかなという感じです。丁寧にバスケットをしていかないといけない」
ケリーが欠場したとはいえ、8連勝中と勢いに乗るSR渋谷に快勝した川崎。直近の3節すべてを1勝1敗で終え、今一つ波に乗れない日が続いたが、この勝利をきっかけに本来の姿を取り戻すかもしれない。
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