「集中して真面目に練習をやりきる文化を築いてくれた」
中学、クラブチーム、Bリーグのユースとカテゴリーの垣根を越えて、U15世代の日本一を決める『Jr.ウインターカップ2020-21』が1月4日に開幕した。新型コロナウィルスの感染対策を受け無観客(1チームにつき保護者、関係者のみ30名まで入場可)で、7日までの日程で武蔵野の森総合スポーツプラザで熱戦が繰り広げられている。
大会には複数のBリーグU15チームも出場しており、シーホース三河U15(愛知)は今日の2回戦でVerde Marugame(香川)を49-36で撃破した。伊良部勝志ヘッドコーチは「相手のトラップディフェンスにしっかり選手たちが対応して、ボールをシェアしながらやってくれました。また、我慢強くインテンシティの高いディフェンスを続け、そこからゲームを展開できたのがすごく良かったです」と、36失点が示すように堅守が勝因になったと振り返る。
BリーグではB1ライセンスの取得条件として、2018年からU15チームの保有が義務づけられた。そこで同年から始動したところも多く、そういったチームにとって今年は誕生時に加入した1年生が3年生となって迎える一つの区切りの年だ。それは「今の3年生が1年生の時にU15が創設されて、この子たちを3年かけてしっかり育成しようという部分もありました」と伊良部が語る三河も同じだ。
また、この3年間を通して一つの文化を確立できた。「特に今の3年生はしっかりインテンシティ高くディフェンスをやる。集中して真面目に練習をやりきる文化を築いてくれたとすごく感じています」
今大会の誕生は、三河U15にとっても大きな目標になると続ける。「すべてのカテゴリーが出場できる新しい大きな大会が作られたことは選手たちのモチベーションにもなります。Bリーグ、部活、街クラブの垣根を超え、レベルの高い相手と対戦できることで、すごく充実している大会になっていると思います」
「選手たちには3年間積み上げてきたものを披露できるこういう大会があることを、まずは感謝しよう。そして試合で彼らがU18、あとはプロになった時の一つの通過点として、たくさん学びを得ようと伝えています」
「U15からU18と同じようなコンセプトを持ちながら」
ここで伊良部が言及した三河U18チームは、今年の春から始動する。このチームの指揮官を務めるのは現在U15のサポートコーチを務めている秋葉真司だ。「6年間一貫の指導はなかなかできないものです。U15からU18と同じようなコンセプトを持ちながら上にあげていければと思います」
このようにU15から継続し、6年間継続して指導できることを一つの強みにしたいと秋葉は語る。そしてU18チームとして、高校バスケとは違う特徴をこう見ている。
「正直、そこはここから日々取り組んでいく中で見つけていかなければと思います。ただ、ユースとして、トップチーム、プロの舞台を常に意識する。そこは選手だけでなく、僕たちスタッフも同じです。Bリーグでプレーできる選手を輩出できるよう頑張っていかなければいけない」
また、元Bリーガーである自身の経験を次のように還元したいと強調する。「僕は試合にずっと出ていた時期もあれば、ベンチに座っていた時期と両方を経験しています。全員スタートで出られるような選手を育てられるかというと、そうではない。試合に出ようが出まいが、自分の役割があるということを教えられればなと思います」
Bリーグの下部組織は、U15を含めてもまだまだスタートしたばかり。その中で29歳の伊良部、27歳の秋葉と若き指導者たちが未来のBリーガー育成であり、バスケットボールを通した人間教育へ高い志を持って取り組んでいる。もちろんJr.ウインターカップは日本一を争う勝利第一の真剣勝負の場だ。それと同時に、新たな育成のスタンダードを築くべく奮闘しているチームの歩みが見える舞台としても、これから注目していきたい。