橋本尚明

先発起用から3試合連続で2桁得点を記録

島根スサノオマジックはバイウィーク明けの三遠ネオフェニックス戦に勝利し戦績を5割にしたが、前節の千葉ジェッツ戦に連敗し再び黒星が先行した。

15勝3敗という戦績が示すように、千葉はリーグ屈指の強豪であり、簡単に勝つことはできない。では、こうした強豪チームとの差はどこにあるのか。河合竜児ヘッドコーチ代行は「40分間インテンシティを保ち続けられるかが、上位チームと自分たちの差」と語った。

初戦では最終クォーターのオフィシャルタイムアウトを迎えた時点で7点をリードするなど、島根は強豪相手にも戦えることを証明した。また第2戦でも、第1クォーターに2桁のビハインドを背負ったが、そのままワンサイドゲームとはせず、第2クォーターで点差を詰めた。それだけに「2連敗したけど、得たことも非常にあった」と語る理由は理解できる。

河合ヘッドコーチ代行が挙げた「得たこと」の一つが橋本尚明の存在だ。橋本はバイウィーク明けから3試合連続で先発で起用され、そのすべてで2桁得点を記録した。「選手のストロングポイントを生かそうと組んでいます。橋本に関して言えば、スタートでしっかり仕事をしてくれた。自分の起用が彼とうまくマッチしたことに関しては狙い通りだと思っています」と、河合ヘッドコーチ代行は言う。

橋本自身も「負けたので悔しさが残りますけど」と前置きしながらも、「先発で使ってもらえるチャンスをいただいたので、自分の持ち味を生かしていきたいと思っていた」と、結果を残せたことに一定の満足感を得たようだ。

ディフェンスに定評のある橋本だが、ここ3試合は得点面での貢献も目立った。「積極的にドライブにいってレイアップに持ち込むことだったり、アグレッシブなディフェンスが求められている」と橋本は言う。インサイドに強みを持つ島根にとって、多少タフショットになってもフィニッシュまで持っていける選手は貴重だ。実際、橋本のドライブに千葉のセンター陣が対応したことで、島根のビッグマンがオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを挙げるシーンが多々見られた。

橋本尚明

「僕は怖い人じゃないっていうのを示していけたら」

橋本は横浜ビー・コルセアーズ在籍時に極度のシュート不振に陥ったことがある。その時は『第6感』が働き、その不調を乗り越えたが、今回は感謝の気持ちがチャンスをモノにする原動力となったという。「体調不良で2週間近く休んだ時もありました。そこからチームメートやコーチ、スタッフや球団社長のみんなに、そして一番は家族のために一生懸命にやってきました。僕の中で恩返しじゃないですけど、支えてくれている人たちに感謝しながらバスケをしているだけです」

以前の取材で、橋本は自身のことを「この容姿やし、怖い人に思われがちで。僕はクリーンだよ、って本当にみんなに言いたい(笑)」と冗談交じりに語っていた。クリーンなイメージは定着したかと問うと「分からないです、それは僕が決めることじゃないので」と笑い、「あまり笑顔が得意な人間ではないですが、しゃべりかけていただいたら普通にしゃべります。Bリーグに僕は怖い人じゃないっていうのを示していけたらと思っています」と続けた。

だが、試合に敗れたこともあってか、筆者の所感ではクリーンさよりも怖さのほうが上回っていた。実際、他の記者も同様の思いを抱えていた。それも伝えると「どこがですかっ(笑)」とツッコミ、この日一番の笑顔を見せた。

もちろん、連敗後にヘラヘラしているほうがプロ選手として心象が悪くなるだろう。良いプレーをしてチームの勝利に貢献できれば、自ずと笑顔の回数は増えるはず。橋本がクリーンなイメージを定着させるには、チームに勝利をもたらす最高のパフォーマンスを持続させることが一番の近道だ。