赤穂雷太

「ビッグマンが抜けた中で、自分が出て負けるのは嫌でした」

千葉ジェッツは島根スサノオマジック戦に連勝し、バイウィーク前からの連勝を5に伸ばした。

ギャビン・エドワーズの欠場により、インサイドの弱体化が懸念された千葉だが、ここ3試合連続で先発起用されている赤穂雷太がその不安を払しょくした。島根との2試合、赤穂はともに20分を超えるプレータイムを与えられ、10得点、12得点と連続で2桁得点を記録した。

196cmの長身ながら、当たり負けしないフィジカルとバックコート陣に負けない敏捷性を併せ持つ赤穂だが、特にインサイドの守備での貢献が目立った。第1戦で20本ものオフェンスリバウンドを許したこともあり、第2戦はディフェンスリバウンドの確保がカギを握った。赤穂は身体をぶつけてボックスアウトを心掛け、島根のオフェンスリバウンドを7本に抑えたことで試合を有利に進めた。

赤穂のリバウンド自体は4本にとどまったが、チップアウトやポジション取りなど数字には表れない貢献が確かにあった。赤穂はリバウンドに関して、アシスタントコーチのゾラン・マルティチとの会話も交えこのように語った。

「ゾランコーチにリバウンドを何本取るんだと言われて、10本と答えました。全然届いていないですけど、リバウンドの意識は昨日よりも持っていたので、その部分に関しては良かったと思っています」

前述したように、赤穂は196cmと長身ながら、将来を見据え市立船橋高校時代からガードポジションを担ってきた。インサイドでプレーすることが少なかったからこそ、現在のポジションで楽しくプレーできており、貴重な機会ととらえている。

「全体練習では4.5番でやることが多く、今はそっちのほうが楽しいくらいです。大学でもアウトサイドのプレーばかりやっていて、インサイドのプレーはこの身長にもかかわらず、やってこなかったのが正直なところです。普段の練習でスペイン代表のセバス(セバスチャン・サイズ)だったり、ギャビンとマッチアップできているのでレベルアップに繋がっていると思います。恵まれた環境でやれていますし、この時期があって良かったと思えるようにしたいです」

不慣れなポジションながらも、楽しみつつ結果を残し、エドワーズ不在を感じさせなかった赤穂は「ビッグマンが抜けた中で、自分が出て負けるのは嫌でした。3試合全部勝てて良かったです」と笑みを浮かべた。

赤穂雷太

「大学とかアマチュアの時はこういうキャラじゃなかったです」

22歳と若く、身長とスピードを併せ持つ赤穂は日本代表のビッグガードとしても期待が懸かる。大野篤史ヘッドコーチも「メインのプレーヤーになれると思っていますし、良いポテンシャルを持っています」と太鼓判を押す。しかし、その一方で赤穂の性格的な問題も指摘した。赤穂は引っ込み思案で自分からコミュニケーションを取ることが決して得意なほうではない。バスケではしばしばコミュニケーショが大事とされるが、大野ヘッドコーチもそのコミュニケーションスキルの向上を求めている。

「もっとスケールの大きな選手になれると思っていますが、そのためには自分の殻を破らないといけません。もう少し自己主張しなきゃいけないですし、自分のやりたいことを伝えなきゃいけない。まだまだしゃべれていないことがたくさんありますし、自分が思っていることを相手に伝える、チームのために何をしなきゃいけないかを気づいた時にチームメートに伝える。そういう能力がまだまだ足りないので、そこが上がってこない限りは、僕が想像してるくらいの選手にはなれないと思う」

自分の人間性や性格を変えることは決して簡単な作業ではない。それでも赤穂は選手入場で工夫を凝らすなど、こうした問題に正面から向き合っている。『ちびまるこちゃん』とのコラボレーションデイだったこともあり、昨日の試合後のインタビューでは、自ら進んで黄色い帽子をかぶった。

「大学とかアマチュアの時はこういうキャラじゃなかったです。でも千葉に来ておーみさん(大宮宏正)だったり、プレーじゃない部分でファンを喜ばせる人がいて、そこは見習わないといけないと思うようになりました。プロになってからそういう意識が出てきました」

「入場に関しては最初はおーみさんにやれって言われてたんですけど、今は自分からやろうとしてます。ネタが切れてきたので困ってるんですけどね(笑)。SNSでも入場を楽しみにしていると連絡がきたりするので、ファンを喜ばせたり、そういう部分でも頑張っていきたいです。おーみさんからはノリと勢いでやれば、なんとかなると言われています。その言葉を信じて、恥ずかしがらずにノリと勢いで今のところ来ている感じです」

自分のキャラを変えることはコミュニケーション能力のアップに繋がり、さらにはファンを喜ばせることにも直結する。すべてを吸収し、自分を変えようとチャレンジする赤穂なら、大野ヘッドコーチが想像する選手になる日もそう遠くないはずだ。