比江島慎

14勝1敗とB1トップの成績でブレイクへ

宇都宮ブレックスは、今週末の広島ドラゴンフライズとの連戦を2つとも勝利した。

土曜の第1戦は前半で43-17と大差を付けての30点差と危なげない勝利。それでも古巣対決となった竹内公輔が「広島は2試合目で強い印象があるので、気を引き締めて戦いたい」と語っていたのは正しかった。立ち上がりからジャマリ・トレイラーが体勢を崩しながらタフショットをねじ込んだように、少々粗削りでもボールへの執着心を出して戦う広島の勢いに対して宇都宮は受けに回ってしまう。トレイラーが3本連続のシュート成功に続いて、スティールから走ってダンクを叩き込む。さらにはアイザイア・マーフィーにも速攻を決められ、宇都宮はタイムアウトを要求するとともに、スタメン全員をベンチに下げた。

宇都宮は気持ちの準備ができていたであろう竹内やジェフ・ギブスのセカンドユニットで押し返そうと試み、渡邉裕規が連続3ポイントシュートを決めるも、広島の勢いを止められずに第1クォーターで13-25のビハインドを背負ったが、そこから猛烈に押し返す。早々にメンバーを入れ替えた宇都宮に対し、広島はトレイラーと田中成也が10分フル出場。カギとなる選手がベンチに下がると良い流れが途切れてしまった。逆に宇都宮は選手起用のローテーションが機能する。スタメンの4人に田臥勇太を加えたラインナップでペースを上げ、第2クォーターのオフィシャルタイムアウト明けに鵤誠司を戻してスタメンの5人がコートに揃ってからは、15-1の怒涛のランで試合をひっくり返した。

この第2クォーター、ライアン・ロシターが9本中8本のシュートを決めて20得点、さらには比江島慎も4本中3本のシュート成功で7得点と、2人のエースが存在感を発揮した。ロシターは立ち上がりにやられたトレイラーとのマッチアップでやり返し、内外でシュートを沈めるとともに早い攻めを生み出すパスも出してチームオフェンスの中心に。比江島も絶好調のロシターを上手く使いつつ自らも積極的なアタックを見せた。

43-35とリードして迎えた後半、広島は立ち上がりのフィジカルなプレー、ボールへの執着心を維持できない。岡本飛竜がボールプッシュしてテンポを上げようにも周囲が付いてこれないシーンもあった。個々の選手が打開しようと試みるが、チームとして噛み合わないために手詰まりとなり、ターンオーバーが増える結果に。逆に宇都宮は一度優位に立つと自分たちのペースを崩さない。したたかな試合運びで反撃を許さず、最終クォーターのオフィシャルタイムアウト直前、ファストブレイクで簡単に数的優位を作ってのフリースロー、さらにはギブスがオフェンスリバウンドを拾ってゴール下をねじ込んで78-61とし、勝利を確実なものとした。

最終スコアは85-71。広島のトレイラーが今シーズン最多となる30得点を挙げたものの、勝利には届かず。宇都宮ではロシターが24得点、比江島が12得点、ジョシュ・スコットと渡邉が11得点を記録した。スタッツで目立ったのはフィールドゴール試投数の差で、宇都宮の73本(うち33本成功)に対して広島は53本(うち28本成功)と、オフェンスリバウンドの差(10-3)、シュートを打ちきって攻撃を終えられるかどうかの差がスコアに表れた。

鮮やかな逆転勝利を収めた宇都宮は、開幕から14勝1敗とリーグトップの成績でブレイクを迎えた。11月の5試合は、新潟アルビレックスBB、秋田ノーザンハピネッツ、そして広島とアウェーゲーム5連戦。それでも宇都宮はディフェンスとリバウンド、球際の強さにフォーカスする力強い戦いぶりで、9日間で3カ所を回ってのアウェー5試合を全勝で乗り切った。

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