ダンクをミスするも「ウインターカップにとっておく」
福岡第一と福岡大学附属大濠による『福岡対決』は、後半にファストブレイクを連発、3ポイントシュートにも当たりが出て一気に抜け出した福岡第一が88-61で快勝した。それでもエースの重責を担うハーパージャン・ローレンス・ジュニアにとっては、少なからず反省の残る試合になった。取材対応の第一声は「前半は自分のミスで迷惑をかけたし、後半に取り戻そうと思ったんですけど、なかなか自分のプレーができませんでした」という反省の言葉だった。
試合開始から大濠の針間大知がフェイスガードに付いたのに対して、ハーパーは「自分がずっと突っ立っているだけになってしまった」と振り返る。特に試合序盤の福岡第一の攻めでは、ハーパーと針間だけがプレーに全く絡むことのない4対4の攻防になっていた。福岡第一は他の選手が踏ん張ってリードしていたものの、大濠の望むスローペースに巻き込まれてしまっていた。
「久々だったので緊張もありましたが、自分からもっと動いてボールをもらって、チームの中心となって周りを生かすようにしないと。前半は全然走れていなかったので、出だしからもっと走った方が良いと思います」とハーパーは振り返る。
それでも後半開始から大濠の逆襲を浴びて同点にされたところで、ハーパーが迷いを振り切る。ボールを持ったら縦へ一直線。力強いボールプッシュで速いテンポを作り出し、スピードに乗ったチームメートへとパスを送る。ハーパーが勢いに乗ったことでチームも勢いに乗った。「緊張もほぐれて堅守速攻が出せました。自分が走るより周りを走らせて、そこにパスを出して自分たちのプレーがしっかりできたと思います」とハーパーは言う。
ここから一気にたたみかける強さは福岡第一ならでは。ハーパーの生み出す速い展開にチームメートもしっかり合わせて走ることができるのは、その先にパスが出てくると信じているからだろう。そしてハーパーは自分の言葉通り、周囲を走らせてイージーレイアップを、また相手ディフェンスを引き付けては外で空いた味方を見逃さずに3ポイントシュートをと、自由自在にオフェンスを操った。
終わってみれば大差を付けての完勝となったが、福岡第一に流れが傾いた後も彼にとって悔やまれるシーンが一つだけあった。「ダンクのチャンスがあったんですよ。ブレイクカットして、一人でレイアップのところ。そこでダンクに行こうとしたんですけどミスって、タイミングが合いませんでした(笑)」
「それはウインターカップにとっておく」とハーパーは言った。チームとしては試合序盤からしっかり走る展開を作り出すこと。彼個人としては派手なダンクを一発決めること。注目を集めた『福岡対決』だが、集大成を見せる舞台はウインターカップ本大会だ。