飛龍高校

2年ぶりのウインターカップ出場を目指す飛龍。「平均身長も170cmちょっと」と大きくはないが、だからこそ「他とは違うバスケができる」と選手は自負している。今年は新型コロナウイルスの影響でインターハイが中止となっただけに、唯一の全国大会となるウインターカップに懸ける思いは強い。そんなチームをまとめるキャプテンの櫻井椋介と保坂晃毅に、大会への意気込みや飛龍高校バスケ部について語ってもらった。

「練習の雰囲気をすごく大事にしています」

──まずは櫻井選手から自己紹介をお願いします。

櫻井 櫻井椋介です。東京の実践学園中出身で、中学時代には全国大会に出場しました。高校で初めて全国大会に出たのは、2年生の時に鹿児島であったインターハイです。得意なプレーはディフェンスで、チームでも一番の自信があります。キャプテンとして練習でも先頭に立ったり、声掛けを意識してやっています。あとは、チームが一つの方向に向かっていけるように取り組んでいます。

──チームをまとめる上で大変なことはありますか?

櫻井 コロナの影響で1年生が練習に参加できる時期が遅くなったこともあって、チーム練習がスムーズにいかない時がありました。なので早くチームに慣れてさせて、効率的に練習を行うことが今の課題です。

──では、保坂選手も自己紹介をお願いします。

保坂 保坂晃毅です。愛知県東海市の上野中学校出身です。中学時代は県大会で優勝しましたが東海大会で負けちゃって全中には出ていません。全国大会に出たのは高校に入ってからです。1年生の時のインターハイではスタートで出ることができて、すごく良い経験をさせてもらいました。1年生の時に日本代表のU16に選んでもらって、今年の1月にはチェコ遠征に行くことができました。自分はスピードがある方なのでドライブや速攻が得意です。

──お互いに、良いところや直してほしいところがあれば教えてください。

保坂 櫻井はすごく声を出すし、チームをまとめることができる存在です。ただ、声だけでプレー中はボールをもらいに来なかったりするので、そこを直してほしいです(笑)。

櫻井 保坂の良いところと言うか、スピードは全国で1番ぐらいの速さがあります。練習中も一番速いので止めるのに一苦労です。試合では速攻とかで頼りになりますし、一緒に出ていても走ってくれるという安心感があります。でも、悪いところというか、3ポイントシュートがないのでアウトサイドでは下がって守られちゃうんですよね(笑)。

保坂 そうですね。ピックを使っても全部アンダーで通られて本当に面倒くさいです(笑)。

飛龍高校

「率直に最後のウインターカップにはマジで出たい」

──飛龍はどんなチームですか?

櫻井 サイズがあるセンターがいなくて、平均身長も170cmちょっとという小さいチームです。サイズがないことは不利かもしれないですが、逆に自分たちはそこを生かして他とは違うバスケができると思っています。ディフェンスからの速攻だったり、相手に留学生がいても戦えるチームを目指しています。

保坂 留学生へのディフェンスの寄りの部分はすごく練習しています。自分たちはサイズがないので、1人では留学生を相手に守れないけど、チームで寄るところをしっかり寄って、そこから走るということをしています。あとは練習の雰囲気をすごく大事にしていて、雰囲気が悪くなったら練習を止めて一度集まって気持ちを入れ直して練習を行うようにしています。

──飛龍に来て良かった、というところを教えてください。

保坂 まず、みんながめちゃくちゃ面白いところ。練習はキツいんですけど、練習後に寮とかで一緒にいてすごく楽しいですね。バスケ面では全国大会に出場できる力があるから、県外の強豪校とも試合ができる部分がすごく良いです。代表にも呼ばれるようになったので、そういうところを含めて来て良かったと思います。

──今年は新型コロナウイルスの影響でインターハイが中止になりました。ウインターカップへの思いはいつも以上に強いかと思います。

櫻井 率直に最後のウインターカップにはマジで出たいです。1年生の時にもウインターカップは経験しましたが、3年生として出場するウインターカップは一味違うと思います。最初はインターハイに向けて頑張っていましたが、コロナの影響で中止になった時は言葉が出ないというか、どうしたら良いのか分からない状況でした。中止が決まった後の数日間は落ち込みましたけど、原田(裕作)先生が「ウインターカップは開催されると思って切り替えてやろう」と言ってくれて。ウインターカップに向けて気持ちを切り替えると決めた時は、最後の大会でもあるので「意地でも出る」という気持ちになりました。

──静岡県では藤枝明誠も強豪校です。今まで対戦してきてどういうイメージですか?

櫻井 良い意味でお互いに切磋琢磨してやっています。僕たちが1年生の時の新人戦で藤枝明誠さんと試合をしたんですが、第1クォーターで1点も取れなくて、最終的には30点差ぐらいで負けたことがあるんですよ。その時に「チームみんなで頑張ろう、インターハイには絶対に出るぞ」と意気込んで、インターハイには出ることができました。そのおかけで自分たちが一つになって頑張れたので、もし藤枝明誠さんに負けた経験がなかったらインターハイ予選で優勝はできていなかったと思います。

飛龍高校

「原田先生は怖い中にも愛情がある人」

──では、飛龍の『ここだけは負けません』というところを教えてください。

保坂 絶対にルーズボールには飛び込むところ。あとは、前からしっかりディフェンスでプレッシャーを与えて、相手に嫌な思いをさせる部分はどこにも負けないと思います。

櫻井 ルーズボールに飛び込む練習をしているぐらいです。それに、ルーズボールに飛び込むと原田先生が拍手してくれるので、みんなそれを欲しがっています(笑)。

保坂 先生からの拍手はうれしいので、みんな「俺、もらったー」みたいな(笑)。

──原田先生はどんなコーチですか?

櫻井 原田先生は怖い中にも愛情がある人で、練習中でも僕たちを思ってくれていることが伝わってきます。全員のことを見てくれていると僕たちも感じていて、練習でちょっとでもサボッている人がいれば原田先生はしっかりと注意してくれます。そういうところも他の先生とは違うので、あんなに見てくれる先生は原田先生しかいないと思います。

保坂 体育の授業の時はめっちゃ優しいです。授業中はずっとニコニコしていますし、先生にちょっかいを出したりしています。

──目標としている選手や将来の夢を教えてください。

櫻井 僕は同じポジションのカイリー・アービングにあこがれていて、苦手な1対1でのオフェンスの映像を見て勉強しています。将来は学校の先生になって、原田先生みたいにバスケットに夢中になって、熱く教えられる人になりたいです。

保坂 僕は大学バスケの動画をよく見ています。ガードをやったりコントロールしたりドライブもするので、筑波大の菅原(暉)選手や東海大の坂本(聖芽)選手の映像を見て真似しようとしています。将来はプロ選手を目指しています。小学校の頃からバスケットをしているので、大人になってもバスケで挑戦していきたいです。

──まずはウインターカップの県予選があります。最後の大会に挑む気持ちを教えてください。

櫻井 高校最後の年なので、自分たちの代でウインターカップに出場して、みんなで笑って終われるようにしたいです。個人的にも小さい頃からインターハイやウインターカップを目標にしてきたし、あこがれの舞台でもあるので、そこでしっかりと活躍したいです。まずは出場できるように、そして最後の集大成として頑張りたいです。

保坂 1年生の時から試合に出ていますが、全国ではベスト16までしか行ったことがありません。まずはメインコートで試合をしたいです。チームのみんな、親や先生にも迷惑をかけてきたので、最後は自分もしっかりとプレーをして、メインコートで「小さくても勝てるんだぞ」と全国のみんなに証明できたら良いなと思います。