ポール・ジョージ&ラッセル・ウェストブルック、サンダー最強コンビを考察する

2018/07/09
NBA&海外
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ラッセル・ウェストブルックとポール・ジョージ

文=神高尚 写真=Getty Images

『友情』だけでサンダー残留を決めたわけではない

フリーエージェントで注目されていたポール・ジョージが、子供の頃からあこがれていたレイカーズへの移籍ではなく、サンダー残留を選択しました。

ディフェンス面でハードワークするサンダーはポール・ジョージに合っていたものの、カーメロ・アンソニーを含めた『OK3』を結成しながら、サンダーのオフェンスはパス数がリーグで2番目に少なく機能したとは言えませんでした。その理由の一つに挙げられるのは、ラッセル・ウエストブルックがボールを持ちすぎて停滞を生み出すことです。そのイメージからシュート力に定評のあるポール・ジョージがウエストブルックとのプレーを選択したことは驚きをもって伝えられました。

一方で残留を決めた理由の一つがウエストブルックとの友情とも伝えられています。しかし、ポール・ジョージはオフコートの関係性だけで残留を選んだのでしょうか。

サンダーに移籍したポール・ジョージはフィールドゴール成功率が3.1%落ち、平均得点は1.8点減りました。この数字からは複数のスターがいながら連携を欠き、イージーシュートが打てなくなったことがうかがえます。しかし、3ポイントシュートは平均7.7本のアテンプトで40.1%と好成績を収めました。この3ポイントシュートについてペイサーズ時代の2016-17シーズンとサンダーでの17-18シーズンのアテンプト数を比較すると

キャッチ&シュート 4.8本→5.4本
ワイドオープン 2.3本→3.1本 

むしろペイサーズ時代よりもチームとしてポール・ジョージの3ポイントシュートのためにパスを回し、フリーでキャッチ&シュートできるようになっています。そしてポール・ジョージ自身もワイドオープンでの確率が47.6%とリーグ最高クラスの結果を残しました。ポール・ジョージのためのお膳立てをしっかりと行い、本人もそれに答えていたといえます。

もちろん、そんなポール・ジョージに最も多くのパスを供給したのはウエストブルックです。3ポイントシュートアテンプトのうち半分以上がウエストブルックのパスからでした。この3年間のポイントガードからのパス本数と3ポイントシュートアテンプト、確率を比較してみます。

17-18シーズン ウエストブルック
パス本数18.7本 3ポイントシュートアテンプト4.0本 成功率41.3%

16-17シーズン ジェフ・ティーグ
パス本数19.1本 3ポイントシュートアテンプト3.1本 成功率37.1%

15-16シーズン ジョージ・ヒル
パス本数11.7本 3ポイントシュートアテンプト1.5本 成功率33.9%

パスの本数こそティーグが上回るものの、3ポイントシュートの本数でも確率でもウエストブルックのパスは効率が良くなっていることが分かります。ポール・ジョージは強力なドライブでディフェンスを引きつけてくれるウエストブルックとのコンビで、これまでになくフリーでパスを受けてシンプルにシュートを打つことができ、そして確率も上昇させたのです。

ポール・ジョージがサンダー残留を決めた理由は、コート外でのウエストブルックとの友情だけでなく、コートの上でも自分をフリーにして的確なパスを出してくれる相棒とのプレーの快適性があったからではないでしょうか。

課題はミドルレンジとアシスト力、相乗効果は生まれるか

しかし、良いことばかりではありません。ミドルレンジは507本→304本、46.7%→33.2%とアテンプトも確率も大きく落としました。ペイサーズ時代はミドルレンジに飛びこむと周囲が自分に合わせてパスを出してくれましたが、サンダーではウエストブルックがドライブするためのスペースを構築する必要があり、安易にミドルレンジに飛びこむことができませんでした。得意だったプレーの一つがサンダーのシステムの中では使いにくかったのです。

またポール・ジョージからのパスでウエストブルックは3ポイントシュートが29.2%しか決まりませんでした。ディフェンスからするとポール・ジョージのドライブを優先的に止めれば良かったので、守りやすくなりました。ウエストブルックのシュート力も問題ですが、ポール・ジョージはアシスト力も課題でアダムスへのアシストミスなどパスのズレが目立ちました。そもそもサンダーはウエストブルックの広い視野と速いパスを中心に設計されており、ポール・ジョージがドライブしたときにも、同じようにパスを供給できないとチームは機能しません。

サンダーはポール・ジョージと長期契約したことでウエストブルックとのコンビでチームを作っていくことを明確にしました。1年目はコンビとして「3ポイントシュートとドライブ」というお互いのストロングポイントを生かしましたが、全体としての効率性が上がったとは言い難い結果でした。2年目からは単に連携を深めるのではなく、相乗効果を発揮してチーム全体のオフェンス力を上げる必要があります。

チームのファミリー的な雰囲気に心を打たれ残留を決めたポール・ジョージ。これから求められるのはコート上での強い絆を示す事です。