文=鈴木健一郎

三屋会長の強い願いで『大神アンバサダー』誕生

昨日、日本バスケットボール協会は定時評議員会と臨時理事会を実施し、2020年までの2年間を任期とする役員とする新体制の発足を発表した。会長は三屋裕子が留任、主なメンバーに変更はないが、Wリーグとの連携を強化する意味でWJBL専務理事の西井歳晴が副会長に再任している。またJBA審判委員長を務める宇田川貴生、三遠ネオフェニックスの社長からBリーグ入りする浜武恭生といった面々が新任の理事として加わった。

そして今回、『JBAアンバサダー』という役職が新たに設けられ、その第1号として昨シーズン限りで現役を引退した大神雄子が就任した。これは三屋会長の強い後押しによって実現したもの。バレーボールの日本代表としてオリンピック出場経験のある三屋は、その思いをこう語る。

「引退するとテレビ出演やクリニックなど個人としてバスケットボール界とのかかわりがあっても、協会との関係が切れてしまう傾向にあります。これまでバスケットボール界のために尽力してくれた選手が、引退してJBAとの関係が切れてしまうのはあまりにも寂しいと思い、アンバサダーという形を考えました。大神さんはメッセージ性もあり、アピール度も最高にあるので、バスケットボールの普及と広報活動を担っていただくのに非常に適した方。日本代表からミニバスまで、大きなくくりでバスケットボールの価値向上のために活躍できると思っています」

日本代表の試合では「応援するより、一緒に戦う」

3月末のWリーグのシーズン終了後はいろいろな国に出掛けて「日本のバスケットをもっとこう変えられる、まだまだ良くなれる」と感じていた大神は、三屋会長の打診に快諾。「5年後、10年後のビジョンは指導者で、そのための勉強も始めたい。そこは三屋会長にもお話させていただきました。でも、今の選手とこれからのバスケ人口を見ていると、まだまだやれる、もっともっと盛り上げられるという思いです。指導者をやりたいのもありますが、根本的に私もバスケットボールファンなので、引き受けることにしました」

大神らしいのは、お飾り的なポジションには収まらないであろうことを最初から強烈に印象付けたこと。アンバサダーとしてどんなことをやりたいか、と問われると自分だけでなく周囲を巻き込む『大きな目論見』を語ってくれた。

「海外に行ったり、国内のいろんなイベントに参加するとバスケットをできる場所がまだ少ないと感じます。会長や地方のバスケットボール協会にお願いして、月に1回『バスケットデー』を作ろうとか。会場を開放して、私が行くので一緒にピックアップゲームができたらいいと思います。アメリカでは外にリングがあるとみんな集まってピックアップゲームをするんですけど、日本はクラブチームでの活動が多いと思います。でも日本でも協会が場所を開放しますよ、となれば、好きな人が集まって勝手にゲームをして、それでバスケットボールの魅力をより知ってもらえると思うし、日本代表を応援しようという思いも出て来るんじゃないかと思います」

当然、日本代表も応援する。最初のビッグイベントは今週金曜に迫った29日の男子日本代表、ワールドカップ予選のオーストラリア戦。「会場では松岡修造さんばりに熱く応援する。応援するというよりも『一緒に戦う』ですね」と大神は言う。「私も何年か前までは代表にいたので、この大会がどれだけ大事なのか、どんな思いを思っているのかも自分なりに分かっているつもりです。だから『一緒に戦う』という部分を伝えたいと思います」

選手としての大神のプレーが見られないのはいまだに残念だが、『女子バスケのレジェンド』は引退後も活躍の場を切り拓いている。アンバサダーとしての活躍にも大いに期待したい。