文=丸山素行 写真=鈴木栄一、野口岳彦

99失点、切り替えきれなかったディフェンス

日本国籍を取得したニック・ファジーカス、ゴンザガ大で活躍する八村塁が加わった男子日本代表は、韓国との国際強化試合を1勝1敗で終えた。新戦力の2人は期待に応える働きを見せたが、それ以上に評価を上げた選手が馬場雄大だ。

2試合ともに先発を務めた馬場は、年下の八村に触発されたのか果敢にダンクを狙う積極性を見せ、韓国相手にも引けを取らないフィジカルなディフェンスを披露した。特に安定感のあるディフェンスは「この1年間一生懸命やってきたところなので」と馬場が胸を張るもの。アルバルク東京でのデビューシーズンを通して高めてきた『プロ仕様のディフェンス』は、いつしか馬場のアピールポイントとなった。

このディフェンスの重要性を馬場はこう語る。「ラマス監督が僕に求めているところであり、ディフェンスを頑張ることで良いオフェンスに切り替えられるという考え方なので、そこは自分たちがやるべきことだと考えています」

だが、第2戦では守備が崩れた。99失点という数字からもディフェンスが敗因になったのは明らかだ、試合中の馬場はディフェンスが崩壊した原因が分からなかったという。「前回の試合は後半にしっかり切り替えて、ハードなディフェンスができましたが、今回は自分たち自身もやりながら薄々は感じていたんですが難しいところではありました」

ニック&八村効果でインサイドに収縮する相手ディフェンス

新戦力の2人は2試合連続で2桁得点を挙げる活躍を見せた。個の力で、特にインサイドでスコアできる選手の出現はペリメーター陣の攻めやすさにつながっている。馬場もその恩恵を受ける選手のうちの一人だ。

「韓国のオーバーヘルプが見て取れて、僕たちのオフェンスに対して塁だったりニック選手に集まります。そこでノーマークの選手が出てきますし、そこからさらにアタックだったり、イージーシュートを決めるところがプラスだと思います。そこは前までなかったところです」

新たな力が加わったことでオフェンスの幅は広がったが、その一方で連携面では改善の余地がある。馬場もチームケミストリーの構築を急ぐ必要があると訴える。

「まだまだ新しいチームでどういう試合展開になるかもわかりません。塁とやったこともないですし、ニックも同じチームでやったことないですし、いろいろ試行錯誤しながらではあります。この2試合で得たダメなところやプラスなところを、次の2試合に生かしていきたいです。この12日間がすごい大切になってきます」

「自分たちがやることは変わらないです」

馬場が言う12日間とは、ワールドカップ予選Window3オーストラリア戦までの期間を指す。オーストラリアとの初戦では完敗を喫している上、今回は現役のNBA選手が招集されるなど、より厳しい戦いが予想される。それでも馬場は相手どうこうではなく、自分たちのプレーを貫くことが勝利につながると考えている。

「ディフェンスを頑張るっていうところで。韓国に通用したところは本当に継続してやっていきたいですし、もっと強い相手だと自分たちも重々知っているので、そこはさらにハードにやっていかないといけないです。相手がどうであれ、自分たちがやることは変わらないです」

オーストラリアに勝つために特別な戦術を用いることはあるかもしれない。それでも一人ひとりが100%の力を出し、相手に向かっていくという役割は不変だ。この2試合の中でも成長を遂げた馬場。そのアグレッシブなプレーで、チームに勢いを与え奇跡を起こしてほしい。