30得点のカワイ・レナード「戦い続けなきゃいけない」
クリッパーズとナゲッツのカンファレンスセミファイナル第4戦は、2試合連続で完璧なパフォーマンスを見せたクリッパーズの完勝に終わった。
ナゲッツとの対戦も4試合目。ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーへの対策は試合を重ねるごとに質を高め、この試合ではほぼ完璧に機能した。パス能力の高いヨキッチへのダブルチームはタイミングを修正し、囲い込みに行けばパスの出しどころを探す余裕を与えない。またヨキッチとのハンドオフからマレーがアタックに行く、あるいは3ポイントシュートを打つ形を徹底的に抑え、マレーにはタフショットでさえもシュートを打つ機会を与えなかった。
特にヨキッチへのマークは徹底していた。クリッパーズの指揮官ドッグ・リバースは「これまで見たビッグマンの中で、明らかにベストのパス能力の持ち主だ」とヨキッチを評するとともに、リスペクトの分だけ執拗な対策を練ってきた。
この2人のマークを強めることで他の選手は空くのだが、ハードワークが持ち味のジェレミー・グラント、ディフェンスマンのギャリー・ハリスのシュートに当たりが来ない。ヨキッチがクリッパーズディフェンスのギャップを突くミドルシュートを決めていくが、難しいシュートばかりを選択させられ、得点が伸びない。第1クォーターを終えて3ポイントシュートを8本打つもすべて外れ、12-26と大きく出遅れた。
それでも第2クォーターに入り、ベンチから出たマイケル・ポーターJr.がアグレッシブなアタックで次々と得点を奪うと、ポール・ジョージがファウルトラブルでベンチに下がった隙を突いて盛り返す。8点差まで詰めて迎えた第3クォーター開始から、アグレッシブに攻めて再びポール・ジョージをファウルトラブルに追い込み、8-0のランで一気に追いついた。
だが、ここでカワイ・レナードか簡単にナゲッツのディフェンスを破って相手のランを断ち切ると、流れは再びクリッパーズに。チームディフェンスを再び引き締め、レナードとルー・ウィリアムズがオフェンスをリード。あっという間に2桁のリードを取り戻し、ポール・ジョージが戻った第4クォーターにはナゲッツに付け入る隙を与えなかった。
これでクリッパーズは3勝1敗とシリーズ突破に王手をかけた。チームディフェンスを引っ張るとともにゲームハイの30得点を挙げたレナードは「まだ次のシリーズのことを考えるのは早いよ。ナゲッツの勢いがこれで止まるとは思わない方がいい。僕たちは戦い続けなきゃいけない」と油断はない。ファウルトラブルで思うようにプレーできなかったポール・ジョージも、チームメートの活躍に満足しつつ「僕たちはもっと良いチームになれる」とさらに上を目指す。
一方のナゲッツは、良い時間帯がなかったわけではないが、試合をトータルして考えればあらゆる面でクリッパーズに上を行かれるショックの大きい完敗となった。ヨキッチはパトリック・ベバリーの執拗なマークにカッとなってフレグラントファウルをコールされ、前半に停滞したオフェンスを勢い付けたポーターJr.は後半には無得点に終わっている。
ナゲッツの指揮官マイケル・マローンは「これまでとは明らかに違う相手だ。タレントが多く、選手層が厚い」とクリッパーズを語る。実際、ポール・ジョージをファウルトラブルに追い込んだのは大きなメリットだったはずだが、クリッパーズは崩れるどころか盛り返してきた。ルー・ウィリアムズにモントレズ・ハレル、またこの試合ではランドリー・シャメットも素晴らしい働きを見せている。この層の厚さが今後もナゲッツを苦しめるだろう。
「しかし、我々は誰もが無理だと思った時に道を見いだすチームだ。そのことに自信を持っている」とマローンは言う。ジャズとのファーストラウンドでは1勝3敗から逆転したが、今回は相手の充実ぶりが違う。中1日のゲームが続く中で、クリッパーズのディフェンスを攻略する糸口を見いださなければならない。まずは第5戦に向け、マローンは忙しい時を過ごすことになりそうだ。