写真=Getty Images

『デス・ラインナップ』が使えなくともチーム力は落ちず

NBAファイナルのウォリアーズvsキャバリアーズ、その第1戦はオーバータイムに突入し、ウォリアーズが得意の速攻から得点を一気に量産する爆発を見せ124-114で勝利した。このオーバータイムでケビン・デュラント、ドレイモンド・グリーン、ステフィン・カリー、クレイ・トンプソンの『ビッグ4』とともにコートに立っていたのがショーン・リビングストンだ。

ウォリアーズはケガでアンドレ・イグダーラを欠いており、現在『ビッグ4』とイグダーラで構成される『デス・ラインナップ』を組むことができない。その穴を完璧に埋めたのがリビングストンだった。ディフェンスではミスマッチを作らせず、オフェンスではポストアップからの得点も得意とする大型ガードのリビングストン。4本のシュートをすべて成功させ、最高の脇役としてチームを支えた。特にオーバータイムでカリーのアシストから決めたジャンプフックはゲームを決定づける一発となった。

ウォリアーズは『ビッグ4』との組み合わせとして先発にケボン・ルーニーを、他にはジャベール・マギー、ジョーダン・ベル、デイビッド・ウェストが起用されているが、彼らはいずれもインサイドプレイヤー。イグダーラやリビングストンが配置された時のようなトランジションオフェンスは作りにくいのも事実だ。そしてウォリアーズが絶好調のレブロン・ジェームズの奮闘に押されながらも一気にリードを奪ったのも、速いゲームに持ち込めたからに他ならない。

リビングストンは、センターでさえ3ポイントシュートの会得に躍起になっている今の時代に逆行するように3ポイントシュートを打たないガードとして知られている。11年前に左ひざを壊した後は力をセーブしながらのプレーを余儀なくされているが、4年目を迎えたウォリアーズで彼を軽視する者は誰もいない。スイッチディフェンスで穴にならず、ここ一番で重要な得点を奪ってきてくれる。プレータイムは年々減少して今シーズンは15.9分だが、その存在感に陰りは見えない。

昨シーズンのファイナルではカリー不在の穴を埋めた。6月3日の第2戦もイグダーラは欠場の可能性が高いが、ここでもリビングストンの勝負どころでの働きがカギになりそうだ。