若手の成長に手応え、肩のケガは「問題ない」
ヒートはプレーオフファーストラウンドでペイサーズをスウィープ(4勝0敗)で一蹴。ケガ人続出でも士気は衰えず、好調を維持するTJ・ウォーレンを擁するペイサーズに長所を発揮させなかった。しかし、今日から始まるカンファレンスセミファイナルの相手は優勝候補筆頭のバックス。これまでとは一枚も二枚も上手の相手であり、ヒートには攻守にこれまで以上のパフォーマンスが求められる。
それでもジミー・バトラーは前日練習の会見で「準備万端」と自信を語る。
「バックスのオフェンスはヤニス(アデトクンボ)がリムへドライブし、散らばったシューターにパスするのが効果的だけど、僕らも対策はしている。ヒートはディフェンスから始まるチームで、ハードワークにはプライドを持っている。的確なポジションを取って相手を封じ込めるんだ。自分たちの力は把握してるし、ハードワークすれば勝てると思っている」
分かっていても止められないのがアデトクンボなのだが、それも織り込み済みだ。「ヤニスは素晴らしい選手で、MVPになるべくしてなった選手だ。しかも彼の周囲にもタレントが揃っている。ヤニスは1人でも得点できるし、周りの選手を生かすこともできるけど、やっぱり彼が起点になるから、まずはそこを封じて他の選手に仕事をさせないことだ」
2シーズン連続で東カンファレンスのトップのバックスに対し、ヒートは今シーズンが5位で昨シーズンはプレーオフ進出も逃している。バックスが本命で、ヒートがアンダードッグなのは間違いない。それでもバトラーは「皆さんがあれこれ予想するのは勝手にやればいい。ただ、勝敗をコントロールできるのはコートに立つ僕たちだ」と、自信は揺らがない。
「ヒートの選手は誰しも『やってやる』と思っているよ。それがこのチームのアイデンティティであり、モチベーションとチームワークの源になっている。ホテルに閉じ込められて練習しているのは僕たちであり、自分たちの力は把握している。周囲の予想は気にせず、ただコート上で戦うだけだ」
自分とチーム。それぞれに自信があるからこその強気な態度だが、まず自分に対しては懸念される肩のケガが深刻ではないことがプラスになっている。「問題ない。プレーできる状態だし、練習も制限なくできている。痛みがあろうとなかろうと、レベルの高いプレーができる」とバトラーは言う。
もう一つはチームへの信頼。若手が多いヒートは、バトラーのリーダーシップの下でチームとして結束し、試合を重ねるごとに若い選手たちが経験を積んで成長している。このプレーオフ中にも彼らは成長しており、それがヒートの上積み要素となっている。「このチームの選手たちは本当に一生懸命で、周囲の雑音に惑わされずにやるべき仕事に集中する。僕もそういうタイプの人間だから分かり合えるんだ」とバトラーは仲間への信頼を語る。
「このチームが目標を達成するために、若手の力は欠かせない。みんな自信を持ってプレーできている。バム・アデバヨは注目されていなかったけど、僕は機会があるたびに彼の名前を挙げてきた。ヒートの選手全員が成功したいと願っているし、そのチャンスが今来ている。ウチの若手たちはチャンスをつかむだけの練習をして、経験を積んできた。今こそやるべき時だ」
過去にはチームメートとソリが合わずに苦労した経験があるだけに、バトラーは今の環境でプレーできることにモチベーションをかき立てられているのだろう。
「無観客でのプレーオフはいつもと雰囲気が違うけど、最高レベルの試合であることに変わりはない。ここでプレーできて幸運だと思う。応援するファン、ブーイングしてくるファンはいないけど、気にせずにプレーする。ヒートのスタイル、チーム一丸で激しくプレーすることを続けていれば、結果はついてくるはずさ」