写真=野口岳彦

ケガを抱えての合宿スタートから苦しい4カ月間を過ごす

女子日本代表は先週、リオ五輪を前にした国内最後の試合として、セネガル代表を相手に3試合を行った。日本と同じくリオ五輪への参加を決めているアフリカ王者、セネガルに3連勝したことは、チームの士気を高めるのに大いに役立った。

WNBAに参戦中の渡嘉敷来夢が不在だとしても、個々の選手が調子を上げるとともにケミストリーも成熟しつつあり、チームは着実に成長している。この3連戦、どの選手も結果を出したが、その中でも特に目立ったのが本川紗奈生だった。

ここまでの道のりは険しいものだった。3月1日、Wリーグのプレーオフで、本川は左かかとを部分断裂する重傷を負ってしまう。リオ五輪に向けたチーム作りが始まった段階では、ずっと足を引きずっているような状態。今もまだ痛みは残っており、本人によれば「今は85%」とのこと。

それでも、今回のセネガル3連戦で、ようやく本川は自分らしいプレーを取り戻すことができた。本川は言う。「まだ痛みはあるんですけど、周りからもスピードは戻って来たと言われます。早すぎて自分の意識が追い付かないぐらいです」

それまでは本来のスピードが出ていない状態で、ドライブに行くべき場面でも躊躇してしまうことがあった。ケガだけでなく、自分のプレーを見失っていたという部分も大きい。そういう意味で、セネガル戦は良いきっかけになった。「出し切ってやろうという気持ちで入ったので、それが良かったんだと思います。ヨーロッパ遠征から帰ってきて、そこで一回気持ちを切り替えて吹っ切れようと。練習からドライブを狙うようにしていったら、気持ちも変わっていきました」

「ドライブについては自分で怖がっていただけでした。自信さえ持てば行けます。私の一番の武器だと思っているので、そのドライブをえげつなくやっていきたいと思います。また、ドライブからヘルプが来た時にパスを出していくアシストのプレーもどんどん増やしたいです」

ケガのトラウマを払拭し、自分らしいプレーを取り戻した本川。

前に走ってブレイクする、それを意識して走るだけ

日本代表の切り込み隊長である本川が積極性を取り戻したことで、チームのオフェンス自体が活性化した。セネガルとの3試合での得点はいずれも80点超え。ドライブで敵陣を切り裂き、チーム全体に勢いを与えた本川の活躍が目立ったのは当然のことだ。

「前に走ってブレイクすること。それを意識して走っていただけです。それでチャンスが生まれました」と本川は振り返る。

「考えすぎてしまうと良くないので、無駄なことを考えずにドライブだけを意識したのが良かったです。それまでは3ポイントシュートばかりを意識してしまい、自分の得意であるドライブを忘れかけていた部分がありました。攻めるのか打つのか、勝手に迷っていたところが吹っ切れました」

ここまで、リハビリに注力してきたのはもちろん、ドリブルの突き出しを工夫するなど、スピードを取り戻すための努力を重ねてきた。その結果が、リオ五輪本番まで1カ月を切ったこのタイミングでの復調を呼び込んだ。セネガル3連戦で「体が動くのが分かりました」と本川は言う。「それ以上まだまだ行けるので、それが楽しみです」

8月6日、リオ五輪本大会初戦のベラルーシ戦では、何%の本川紗奈生が見られるのだろうか? 本川は「120%までもっていきます!」と力強く答えてくれた。

「予定よりはかなり早い」と回復ぶりを語る本川。今後はさらに「攻めるプレー」を出していきたいとのこと。