大量リードから一転、追い詰められたシーホース三河が土壇場で踏ん張り栃木を撃破

2018/05/13
Bリーグ&国内
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文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

前年王者の栃木は持ち味を発揮するもここで敗退

Bリーグ王者を決めるチャンピオンシップのクォーターファイナル、シーホース三河と栃木ブレックスの第2戦。昨日に続き三河が勝ち切り、2連勝でセミファイナル進出を決めた。

後がない栃木は第1戦を上回る強烈なプレッシャーディフェンスを仕掛けて試合開始から5-0とリードするも、三河はそれを逆手に取って徹底的にファウルを誘いに行く。これが立て続けにハマり、フリースローで点差を詰めてコートニー・シムズのバスケット・カウントで逆転に成功。残り2分、比江島慎がセドリック・ボーズマンをドライブで抜き、ゴール下のライアン・ロシターの伸ばす手もかいくぐってシュートを決め、三河が22-14と抜け出した。

栃木はそれでも自分たちのスタイルを崩すことなく、むしろディフェンスの強度をさらに上げていく。安齋竜三ヘッドコーチが試合後に敗れてもなお「それがウチのスタイルなので」と言い切った、シーズンを通して突き詰めてきたバスケットだった。だが、それで反撃の機会は何度か作ったものの、その都度ファウルを誘われ、どうしても劣勢をひっくり返すには至らない。第1戦と同じく重い展開の中、三河がチームでも個人でもオフェンスで力を発揮し、リードを広げていく。

後半開始早々、31-46と15点差を付けられたところから田臥勇太が連続得点で流れを作りかけるが、ここでも栃木はオフェンスファウル、デイフェンスファウルと続いて自滅。オフェンスリバウンドをがっちりつかんだバッツがフリースローを得て、アーリーオフェンスで中央を突っ切った比江島がそのままフローターを沈め、金丸晃輔の速攻が出てと、あっという間に35-56と点差を20の大台に乗せられてしまう。

吹っ切れた栃木の猛追、21点ビハインドを1点に

62-47で迎えた最終クォーターも、最初のプレーで西川貴之がファウルを誘発したフリースローを皮切りに三河が連続得点で68-47と点差を再び20に乗せ、試合の趨勢は決まったかに思われた。ところが、これで終わらないのが栃木ブレックスだ。鵤誠司、ロシター、遠藤祐亮と3ポイントシュートが立て続けに決まって58-68と10点差まで詰め寄る。ここで三河は桜木をコートに戻し、ベストの5人で試合を締めにかかったのだが、その桜木が直後にギブスの突破を止めにいって個人5つ目のファウルで退場となってしまう。これは想定外のアクシデントだった。

栃木は後がなくなり吹っ切れたことで思い切りの良さが蘇り、3ポイントシュートが当たり始めたが、三河の得点をシャットアウトしていたディフェンスも見逃せない。激戦の終盤を迎えて三河の選手はキレを失い始め、ファウルを誘うプレーが効かなくなっていた。これに加えてオフェンスでボールの収めどころとなる桜木が退場したのは痛手。バッツがインサイドで奮闘し、比江島もしぶとく得点を重ねていたが、土壇場で勢いは栃木に傾いた。

残り1分半、喜多川がジャンプシュート決め71-75。さらに三河のリスタートを狙い、橋本を2人で囲い込んでボールを奪い、ロシターがゴール下でそのままねじ込み73-75と、ついに1ポゼッション差に迫った。

76-73と三河の3点リードで迎えたラスト1分はまばたきもできない展開に。バッツが値千金のファウルをもぎ取るも、フリースローを2投とも失敗して栃木にチャンスを残してしまう。さらには司令塔の橋本まで退場に。激しいディフェンスをうまくいなして栃木を苦しめてきた三河が、反対にファウルで苦しむこととなった。ドライブで橋本をファウルアウトに追い込んだ田臥がフリースローを落ち着いて2本とも決め、21点あったビハインドは1点となった。

クラッチシューター比江島「絶対に打ち切ろう」

残り31秒、1点差。勝負の懸かった場面で三河は比江島のアイソレーションを選択する。鈴木貴美一ヘッドコーチは試合後にこう振り返る。「昨日はあまり調子良くなかったですけど、彼は昨シーズンに負けた悔しさを1年間言葉にしていた。そういう悔しい思いをしたのがチームで誰よりも強い。彼の目を見ていて絶対にやると思ったので、ボールを託しました」

昨シーズンのチャンピオンシップ、同じ栃木戦で比江島はミスを犯し、チームは勝利を逃していた。大混戦の土壇場ではあったが、比江島もその時のことが頭にあったという。1年越しに迎えたリベンジの機会。マッチアップする喜多川を左右に揺さぶってから放ったジャンプシュートが決まり、残り12秒で三河が78-75と突き放した。

比江島は言う。「シュートタッチ自体は良かったので、絶対に打ち切ろうと思っていました」

栃木はラストチャンスを喜多川に託すが、決まれば同点の3ポイントシュートがリングに弾かれて万事休す。安齋ヘッドコーチは「最後は喜多川と決めていましたが読まれていました。私の責任」と選手をかばった。残り1秒でファウルゲームに行くも金丸がフリースロー2本を決め、80-75でホームの三河が激闘を制し、セミファイナルへと駒を進めている。

前年王者の栃木がここで敗退。安齋ヘッドコーチは比江島の一発について「あそこは仕方がないというか、比江島選手が本当に素晴らしい、ただそれだけです」と相手を称えた。「ウチの選手たちの素晴らしさも見せられたんですけど、ここで負けて終わってしまったので何か足りないものがあったのではないかと思う。この悔しさを来年以降にぶつけて、優勝を狙えるチームを作っていきたい」と語り、長いシーズンを終えた。