トップレベルで感じた悔しさを成長の起爆剤へ、日本バスケの未来を照らす今野紀花

2018/04/26
日本代表
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文=丸山素行 写真=鈴木栄一、バスケット・カウント編集部

「当たり前のレベルが高くて、空回りしてしまいました」

女子日本代表はワールドカップ、アジア競技会を見据えて開催された第1次合宿を昨日終えた。ワールドカップの指揮を執るトム・ホーバスは「今回の合宿はすごく素晴らしい。日本のバスケットの未来は明るい」と総括している。

トムコーチの「未来は明るい」という言葉には、若手選手の台頭が含まれている。その中でトムコーチは今回の合宿に招集した2人の高校生について「思っていたよりも良い。経験は足りないけど、結構強いしプレーも面白い」と評価している。

高校生ながら初招集された今野紀花(聖和学園3年)は合宿を終えた感想をこう語る。「驚きとうれしさと複雑な感じでした。有名な選手と同じコートでできるので、何か少しでも爪痕を残して合宿を終えたいと思っていました。でも当たり前のレベルが高くて、空回りしてしまいました。何もできない不甲斐なさと悔しさで、これから頑張ろうという気持ちがあります」

日本のトップクラスの先輩たちに囲まれ、自分のプレーができなかったという今野だが、一番の違いは高いバスケIQから生まれる状況判断力だという。

「確実性とか、一つひとつのプレーの突き詰める度合いというか、頭を使いながらやっているというのがまず高校生とは違います。学校ではピックのプレーだったら相手を背中に回してやろうとか意識しているんですけど、ここに来たら『それがある上で、その後どうしよう』というように、土台のレベルが違います」

「意識すればいつもはできるんです。でもここにくると意識してもスピードとかについていけないこととかもあって、本当に力が足りないなと感じました」と今野はトップレベルと比較した自分の現在地を知った。先輩たちのレベルの高さに圧倒されたという今野だが、「世界を目指して練習しているというのはこういうことなんだなと思って、すごい刺激を受けました」とレベルの高さに臆するのではなく、そうした環境で揉まれたいという成長意欲を見せた。

「1対1は通用するということが分かりました」

今野は177cmのスモールフォワード。2年生ながら主力として挑んだ昨年のウインターカップは東京成徳大学に敗れ、3回戦で姿を消した。チーム事情からインサイドでプレーすることも多かったが、今野はその試合で25得点12リバウンド6アシストを記録し、その時からすでにオールラウンドプレーヤーとしての片鱗を見せていた。

「1対1の練習があったんですけど、自分なりにいろんな技とかスピードとかを使ってやりましたが、1対1は通用するということが分かりました」と個人スキルには自信をのぞかせる。

それでも「2対2、3対3になると合わせとか、誰とこういうプレーするとか、それこそ頭を使わないといけなくなるので、オンボールの動きが課題だと思いました」と話し、連携面での向上が今後のカギになるという。

「高校生の中で一番うまい選手になれるように」

女子代表は今後の合宿を経て、ワールドカップ組とアジア競技会組の2チームを編成することを発表している。「アジアのほうには残りたいと思っていたんですけど、実際ここに来て空回りすることも多かったし、実力もまだ足りないなって思っています」と代表生き残りに関して自信があるわけではなさそうだ。それでも彼女の言葉は決してネガティブなものではなく、今後の成長へつなげようという強い覚悟の表れだ。

「今、結果が欲しいというよりも、この経験を通して学ばせてもらっていると思っています。なのでこの経験を絶対に生かして、ここで感じたことを忘れないようにします。高校生の中で一番うまい選手になれるように、(奥山)理々嘉に負けないように頑張ろうと思っています」

奥山は今回の合宿に招集された高校生プレーヤー2人のうちの一人だ。「すごい仲は良いけど、ライバル意識はあります」と今野は奥山に対抗意識を燃やす。同年代にライバル選手がいることは自身の成長を促す起爆剤となるに違いない。今野や奥山の成長は日本バスケの底上げとなる。「日本のバスケットの未来は明るい」というホーバスコーチの言葉に間違いはなさそうだ。