文=丸山素行 写真=野口岳彦、B.LEAGUE

守備の貢献が光るも「チームに迷惑をかけました」

栃木ブレックスは富山グラウジーズに連勝を収めた。昨日の第2戦で勝因となったのは、22-3と圧倒したオフェンスリバウンドだ。シュート確率は30%を切るも、ポゼッション数で大きく富山を上回り、手数で勝利を手繰り寄せた。

竹内公輔は4つのオフェンスリバウンドを含む、10リバウンドを記録し勝利に貢献。またオン・ザ・コート「1」の時間帯、竹内は2ブロックショットを記録するなど、富山の日本人ビッグマンをシャットアウトした。

これには相手指揮官のミオドラグ・ライコビッチも「オン1の時間帯で相手のアドバンテージが大きかった。竹内選手のほうが上手だった」と竹内の存在が勝負を分けるポイントの一つだったことを認めている。

「ディフェンス面ではある程度できたと思っています」と守備面に及第点を与えた竹内だが、その表情は浮かない。オフェンス面がチーム全体でも低調で、個人的にも満足のいく内容ではなかったからだ。「自分のオフェンスに関してはひどかったというか、全くフィニッシュできてなくてチームに迷惑をかけました」

竹内が言うように、フィールドゴールの成功率は11本中2本のみの成功と低調。ゴール下のイージーなシュートを落としたシーンでは会場のファンから大きなため息が漏れた。

「僕の場合、味方から良いパスをもらってフィニッシュするパターンが多いですが、今日は味方のアシストをたくさん殺してしまいました。僕がもっとフィニッシュできていればもっと楽な展開になっていたと思います」

「こんなバスケをしていたら優勝を狙えない」

ワイルドカード最後の1枠を争うライバルチームたちが連勝を逃したことで、栃木はまた一歩チャンピオンシップ出場へ近づいた。だがその安心感が今の栃木から緊張感を奪っていることに、竹内は勘付いていた。「今シーズン序盤でつまずいて、そこから挑戦者として泥臭いバスケットをしていたのに、今チャンピオンシップが見えてきて序盤のようなバスケットをしてしまっている」

そうした気の緩みはプレーにも表れ、継続を重要視するチームから一貫性が消えた。「昨日はコーチがハーフタイムに喝を入れてくれて後半逆転することができました。今日は出だしからそれをやろうと言っていたのに、第1クォーターでつまずいて、第3クォーターで点差が開いたらまた戻ってしまった」

昨シーズンの栃木がそうだったように、真に強いチームは、点差が開いた時に一気にたたみかける強さを持っている。相手をリスペクトし、全力で叩き潰す姿勢が慢心を生まないからだ。竹内も「勝率5割以下の時のほうがもっと激しいバスケをしていた。こんなバスケをしていたら優勝を狙えない。来週までに調整していきたい」と改善を誓った。

再び求められる挑戦者精神

レギュラーシーズンは残り7試合。栃木はこれから東地区の3チームと連続で戦うことになる。「川崎とか渋谷とか東京とか、今日のような隙を見逃さないと思います。僕自身、自分には満足していないので、まずは金曜に向けて切り替えて準備します」と竹内は川崎ブレイブサンダースとの初戦に照準を合わせる。

安齋竜三ヘッドコーチは締まりのないパフォーマンスが続くチームに対し、「本当に弱いチームだなというのは再確認しました」と吐き捨てた。それはチャレンジャー精神を忘れてしまったチームを刺激するための言葉だ。

竹内は自分の不甲斐ないパフォーマンスに対し、「二度とないようにしたい」と誓った。竹内が油断をすることはもうないだろう。栃木から油断や慢心が消え去った時、再び栄光が訪れる可能性は高くなるはずだ。