文・写真=鈴木栄一

激しいディフェンスで主導権を譲らないA東京

4月15日、アルバルク東京がホームで名古屋ダイヤモンドドルフィンズと対戦。前日、最大22点のリードをつけながら終了直前にひっくり返される痛恨の逆転負けを喫したA東京だが、今日は最後まで持ち味の激しいディフェンスを貫くことで73-63と雪辱を果たした。

第1クォーター、A東京のルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが「昨日の試合最後の勢いをキープしたことで、出だしは相手が優勢だった」と振り返るように、名古屋Dが試合開始から7-0と先行する。しかし、中盤以降はA東京が反撃。残り約1分からのザック・バランスキーの連続得点により22-23と追い上げた。

第2クォーターに入っても一進一退の攻防は続く。名古屋Dがジャスティン・バーレル、ジェロウム・ティルマンのゴール下への積極的なアタックで加点すると、A東京はオフェンスリバウンド6本が示すように厚みのあるオフェンスからジャワッド・ウィリアムス、田中大貴が得点。A東京の41-39で前半を終える。

後半に入ると試合が大きく動く。第3クォーター、A東京は竹内譲次の3ポイントシュートを含む連続シュート成功、さらに安藤誓哉のスティールからの速攻と開始からいきなりの7連続得点でリードを広げる。これで名古屋Dがたまらずタイムアウトを取るものの、それでもA東京の勢いは止まらない。その後も小島元基、アレックス・カークのシュートなどで得点を重ねた。

得点は伸びなかったが堅守は崩れず、A東京の完勝に

名古屋Dの梶山信吾ヘッドコーチが「アルバルクさんのプレッシャーが強くなる中、それに受け身になってしまいました」と振り返る激しい守備に、ボールの動きが停滞。この結果、タフショットが多くなり、このクォーターで名古屋Dはわずか9得点に留まり、A東京が65-48と大きく突き放した。

第4クォーター、昨日の大逆転劇の再現を狙いたい名古屋Dだったが、今日のA東京は最後までディフェンスが崩れない。オフェンスはシュートが全く入らなかったが、相手に得点を与えないことで常にセーフティリードを保つ、危なげない試合運びで勝利を収めた。

連敗を阻止したA東京のパヴィチェヴィッチヘッドコーチは、「第2クォーターから第3クォーターに向けて我々らしさが出た。昨日の二の舞にならずしっかりと逃げ切れました」と、63失点のディフェンスを勝因に挙げた。

また、名古屋Dの梶山ヘッドコーチが「本当にアルバルク東京さんのディフェンスがフィジカル、メンタルともに素晴らしかったです。リバウンドでアドバンテージを取とられ、なによりもボールに対する執着心で相手が上でした」と言及したように、リバウンド数で45-33(オフェンスリバウンドで18-5)とA東京が大きく上回ったのが光った。

「栃木のように最後まで我慢強く戦えるチームに」

守備は申し分なかったA東京だが、第4クォーターはエアボールが何本かあるなど、シュートは計19本中3本成功のみのわずか8得点。その内の1本は、終了直前に勝敗が決したことによるカークのノーマークによるダンクだったことを考えると、実質的には6得点。

しかし、ルカコーチはこの点について「得点は伸びなかったですが、シューターがかなりオープンな形となっており、結果的に入らなくても狙い通りのシュートは打てていました」と語る。シュートは水ものであり、「逆にそういう時でもブレずにディフェンスすることを心掛けています」と、攻撃が苦しい時こそ守備で我慢することの大切さを強調した。

田中大貴も「昨シーズンに優勝した栃木さんのようにみんな最後まで我慢強く戦えるチームに、自分たちもならないといけない」と語る。残り7試合で東地区首位の千葉ジェッツと2ゲーム差という現状を踏まえ、「しっかり毎試合、チャンピオンシップのような気持ちで戦っていこうとヘッドコーチも話をしている」と語っている。

一方、名古屋Dは連勝こそ果たせなかったが、「後味は悪いですけど、昨日勝てたことを自信に変えて残り試合を一つひとつ大事にしていきたい」と梶山ヘッドコーチが総括したように、昨日の大逆転勝利は大きな収穫。ここで得た手応えを弾みに、中地区2位争いを勝ち抜きたい。