文・写真=鈴木栄一

ファジーカス35得点、攻守が噛み合った川崎が快勝

4月7日、川崎ブレイブサンダースが、敵地の沖縄市体育館に乗り込み琉球ゴールデンキングスと対戦。大黒柱のニック・ファジーカスが35得点を挙げ、守っても前半を27失点で終えるなど、攻守ともに安定の試合運びで西地区首位チームを相手に83-69で危なげない勝利を収めた。これで川崎はチャンピオンシップ進出を確定させている。

第1クォーター、ともに点を入れ合う展開となるが、川崎はこのクォーターでいきなり11得点を挙げたファジーカスの活躍により22-14と先行する。しかし、ここから琉球も津山尚大の連続3ポイントシュートで反撃し、川崎の24-21と僅差で終える。

第2クォーター、オン・ザ・コートの人数が第1クォーターと逆の琉球「2」、川崎「1」となることからホームの琉球は一気に逆転したいところだったが、川崎の身体を張った守備に攻撃が沈黙。結局、このクォーターでわずか6得点に留まると、川崎はファジーカスが着実に得点を重ね、36-27と川崎がリードを広げて前半を終える。

ともにオン「1」で迎えた第3クォーター、琉球は開始直後にアイラ・ブラウンの3ポイントシュート、ハッサン・マーティンの得点で4点差に詰め寄る。しかし、川崎はここで前半0得点だった辻直人が、このクォーターで3本の3ポイントを成功。チームに勢いを与えると、ファジーカス、篠山竜青のビッグスリーで計25得点をマークし、リードを大量18点にまで広げる。

第4クォーター、満員のホームでなんとか意地を見せるべく、琉球は古川、金城茂之、古川の順番で3本連続の3ポイントシュートを沈めるが、それでも12点差に縮めるのが精一杯。川崎が余裕を持って逃げ切った。

勝負の第3クォーターに辻直人が爆発

天皇杯のベスト8に続いての快勝となった川崎の北卓也ヘッドコーチは、「天皇杯の雪辱を果たそうと出だしから強い気持ちでハードなプレーをやってくると選手には言っていました。それを跳ね返すディフェンスを第1クォーターからやってくれた。会場のプレッシャーにも負けず平常心でプレーしてくれたことは、ここに来てこれまでの蓄積がでてきている」と試合を総括。

勝利を大きく手繰り寄せるポイントなった苦手としている第2クォーターで12-6と差を広げた点について「ディフェンスに尽きます」と評価。「インサイドで踏ん張ってディフェンスしてくれました。アウトサイドも落ちてきた。やはり4番ポジションのところで、鎌田が身体を張って守り我慢できたところ」と、鎌田裕也を筆頭に守備での奮闘を称えている。

一方、痛恨の大敗を喫した琉球の佐々宜央ヘッドコーチは、「ゲームプランとして、オン・ザ・コートで人数が少ない第1クォーターは負けても5点差以内でいければいいなと思っていた中でついていけました。しかし、相手がオン1の時、僕らが生かせるはずの(帰化選手の)アドバンテージを生かせなかった」と振り返る。

佐々は、ファジーカスに35点を取られたことは想定の範囲内だったと振り返る一方で、第3クォーターに辻直人を乗せてしまったことを悔いた。「だいだい30点から35点をニックに決められても、あとの40点をどうやって守るのか。それが今のチームにとってはシンプルでいいと思います。チーム全体として前半は頑張りましたが、後半、一気に流れを持っていかれたのはやられたくない選手にやられてしまったから。前半0点だったのが、後半だけで彼に9点を取られてしまいました。川崎が乗るというのはその選手の得点なので、そこはやっぱり抑えたいと思っています」

ホームで連敗のない琉球、真価を問われる明日に

また、両指揮官が触れているように明暗を分けたのは我慢の部分。川崎が、オン「1」の時間帯に粘りの守備で我慢できたのに対し、琉球は佐々ヘッドコーチがこう悔いている。「ハードにディフェンスしていて、今までのチームなら少し外してくるところを、川崎は決めてくる。でも、それに対しても我慢して戦い続ければ、どこかで向こうが崩れてします。ただ、そこで自分たちの崩れるタイミングがまだまだ早すぎです。もうひと頑張り、ふた頑張りして、相手を焦らせる状況にもっていきたい」

初戦の快勝にも北ヘッドコーチは、3ポイントシュートを36本中15本決められたことについて触れ、「終盤20点差ついたところで安易なプレーをして詰められました。特にアウェーは、ファンの皆さんの後押しがあってメンタル的に慌てたりするので、そこは課題」と緩みはない。

一方、今シーズンここまでホームで連敗がない琉球は、明日は負けられない。3ポイントシュートより2ポイントシュートの試投数が少なかった攻撃のバランスの悪さの改善が一つのカギになる。「3ポイントを武器にしているチームですが、苦しい時間帯ではインサイドへのアタックでつなげたいです。共通理解が足りず、インサイドを仕掛けるべき時間帯でできなかった」と話す佐々ヘッドコーチの反省を生かせるかに注目だ。

そのためには、後半に持ち直し13得点を挙げたが、「自分たちの判断ミスでミスマッチをつけなかった。簡単に決められるシュートを落としてしまった」と前半は2得点と不発に終わったマーティンの奮闘が不可欠だ。

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