NBA再開カウントダウン ルカ・ドンチッチの個性を生かし、チームとして機能していくマブスの可能性

2020/07/20

絶対的エースのドンチッチは脅威的な判断能力も併せ持つ

28.7得点、9.3リバウンド、8.7アシストとMVPクラスの成績を残すルカ・ドンチッチに引っ張られ、一気に躍進したマーベリックスは、40勝27敗で西カンファレンス7位と4シーズンぶりのプレーオフ進出を確実なものにしています。ここ数年は再建期として積極的に選手を入れ替えながらも、2008年からヘッドコーチを務めるリック・カーライルの変わらぬ指導の下で、スターの個性を生かしながらチームとして戦う一貫した戦術が結果に繋がっています。

ドンチッチがコートにいる時間にマブスは平均82点を奪いますが、うち51点がドンチッチの得点かアシストから生まれており、ワンマンチームにも見えます。ほとんどのオフェンスがドンチッチから始まり、パスを出してもリターンパスでボールが戻ってくるのですが、周囲の選手は「ドンチッチに合わせる」というよりは、それぞれが先に動き出して「ドンチッチに合わせさせる」ような形になっているため、個人の突破力に任せているわけではないのが特徴です。

任せているのはドンチッチの突破力ではなく判断能力です。プレー選択をほとんど間違えることなく周囲に合わせるパスを供給し、ディフェンスがパスを恐れれば今度は空いたスペースに自らが切れ込んで得点を奪っていく。その判断能力は驚異的で、ワンマンチームのようでいてチームとして計算された得点の取り方になっています。

実際、ドンチッチが35点以上を奪った試合は7勝6敗と活躍の割に勝率は上がっておらず、チームオフェンスが苦しい時こそドンチッチが個人技で点を取りに行かなければいけない構図になっています。ルーキーだった昨シーズンのドンチッチはプレー判断を間違えることも多く、それは典型的なワンマンチームと評すべきオフェンスでしたが、2年目になってその判断能力は驚異的に向上し、個人とチームが相乗効果を生み出していることが好成績に繋がっています。

輝きを取り戻したポルジンギスが生み出す相乗効果

ドンチッチがベンチに下がるとデロン・ライトとジェイレン・ブランソンを並べ、プレーメイカー2人態勢にして判断力を補うことでオフェンス力を落とさず、これもワンマンチームでないことを示しています。シーズン中の補強で選手層も充実してきており、ドンチッチに過度に依存することなく戦えるチームになっています。

一方で得点もアシストもドンチッチが多いのは事実であり、さらにステップアップするには2番手エースの活躍が欠かせません。長期離脱から戻ってきたクリスタプス・ポルジンギスは、シーズン序盤は不安定なパフォーマンスでチームオフェンスにも絡めていませんでしたが、試合勘を取り戻し、戦術理解も深めてきた2月以降は24.5得点、10.8リバウンドとニックス時代の輝きを取り戻し始めていました。

圧倒的に高い打点でブロックさせないポルジンギスは、少しのフリーでも簡単にシュートチャンスを生み出すため、ディフェンスからすると気の抜けない相手です。ポルジンギスへのマークを強めればドンチッチがそれだけ楽にもなり、マブスの戦術において2人の関係は相乗効果を生み出してくれるだけに、一気に機能性を増してきました。

またマブスはガードを多く起用することもあって、ブロック力の高いチームではありませんでしたが、2月以降のポルジンギスは2.4ブロックと1人でゴール下を塞ぐ頼もしい存在になってきました。ウィリー・コーリー・スタインも獲得し、強固なインサイドディフェンスを構築しており、オフェンスが上手くいかなくても守り勝つことのできるチームに進化しつつあります。

ジェイソン・キッドとダーク・ノビツキーの2枚看板で優勝したカーライルの戦術は、時を経てドンチッチとポルジンギスのコンビで再び強力に機能し始めようとしています。優勝した2011年以降はプレーオフに出てもファーストラウンドで敗退してきましたが、スター選手の個性を存分に発揮させながらチームして機能させる戦術だけに、個人としてもチームとしてもまだまだま成長する可能性があり、一気に壁を打ち破るかもしれません。

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