試合に勝利するも、反省の多かったA東京戦
レバンガ北海道は東地区首位のアルバルク東京戦を1勝1敗で終え、チャンピオンシップ戦線に踏み留まった。87-81で勝利したゲーム2は、スコア上では点の取り合いのように映るが、指揮官の水野宏太が勝因に挙げたのはディフェンスだった。
それでも守備ではチームトップクラスの力を持つ関野剛平は「僕としては全然、ディフェンスができなかった」と反省する。ファウルのコールに苦しみ、相手に付け入る隙を与えたからだ。「菊地(祥平)さんのドライブで、ここはファウルをしないでおこうとかわそうしたら吹かれたり。仕方がないですけど、そこはどこから見てもファウルを取られないようにしていかなきゃなと思いました」
シュートチェックに行くにも間に合わないのであれば、ファウルを避けるほうが賢い。このシーンで関野はそう判断し、両手を挙げるだけのディフェンスに留めたがファウルになった。
「リバウンドも絡んできてたし、ドライブも積極的に来てたし、トータルして菊地さんは乗ってたと思います。ずっとフリースローをもらって詰めてきて、それを回避できなかったです。僕がこういうジャッジをされる時の課題ですね」
菊地はシーズン最多となる10本のフリースローを獲得し、劣勢のチームを繋いでいた。そうしたロールプレーヤーの活躍がチームの強さを支えるということを関野は実感した。「僕は比江島(慎)さんとか、スコアラータイプにつくことが多いです。菊地さんは陰でチームを支えてるタイプで、そういった選手を乗らせてしまうと、チームは安定するんだなと思いましたね」
「僕、メンタルは崩れないんです」と断言
また関野は攻撃時にも苦労した。審判の目が届かないところで激しく身体をぶつけ合い、ファウルすれすれの攻防がくり広げられた。「ファウルを吹かれるまで、本気で身体を当ててアタックしていこうとは思ってました」と試合中にファウルのラインを確認していた。さらに「僕のドライブの時も見てください、と審判にも伝えた」と審判とのコミュニケーションにも積極的だ。
そうしたやり合いの中で菊地の手が関野の顔に当たり、ファウルがコールされず珍しく関野は激昂した。これで集中力を乱し、菊地の思うツボかと思われたが、関野は「あれで火が着くタイプなので」と、気合は入っても冷静さは失わなかった。
「僕、メンタルは崩れないんですよ。行けるところは行くし、行けなかったらさばきます。今日みたいに熱くなっても、キレて何かをするというタイプではないので」
選手やヘッドコーチの言葉で「審判と戦ってしまった」、「コールにアジャストできなかった」ということをしばしば耳にする。それは得てしてプレーに集中できず、敗戦後や不甲斐ないパフォーマンスをした時に聞く言葉だ。だが関野は笛に惑わされず、ブレない精神力で己のパフォーマンスレベルを高く保っている。
試合に勝利し、一定の満足感を得たこともあり、「良い経験でした」と関野は笑った。『くせ者』とのマッチアップを経て、嫌らしさへの耐性もついた。相手から嫌がられるベストディフェンダーへ、関野はまた一歩近づいた。