文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

オン・ザ・コート「1」で優位に立った三遠

中地区2位を争う三遠ネオフェニックスと新潟アルビレックスBBの直接対決。三遠が6連勝、新潟が5連勝とチャンピオンシップ出場に向けて調子を上げているチーム同士の対戦だったが、試合が始まってみればホームの三遠が持ち味のチームディフェンスで新潟の爆発力を発揮させず、88-66の完勝で第1戦を取った。

ともにオン・ザ・コート「2」の第1クォーターには差が付かず、18-17とわずかにリードしたのは新潟。ダバンテ・ガードナーが7本中6本のシュートを決める堂々のエースぶりを見せた。しかし、第2クォーターは完全に三遠ペースに。両チームともオン「1」、三遠は太田敦也がラモント・ハミルトンとのマッチアップで持ちこたえる一方、ロバート・ドジャーは遥天翼や鵜澤潤とのミスマッチを嫌らしく突いて攻め立てた。

太田はこのクォーター終盤に出てきたガードナーも自由にさせず、ハミルトンを4得点、ガードナーを2得点に抑えた。ドジャーは13得点を荒稼ぎし、代わって入ったウェンデル・ホワイトも3得点で、外国籍選手の得点が16-6。これがそのまま第2クォーターの点差になった。

攻守に質の高いプレーを継続した三遠

37-28で迎えた第3クォーターもオン「1」。今度は立ち上がりからコートに立ったガードナーが10得点を挙げるも、三遠は3ポイントシュートで上回る。前半は11本中2本と当たらなかったが、この第3クォーターで9本中7本成功。3ポイントシュートは新潟も五十嵐圭、城宝匡史、池田雄一と名手が揃うが、三遠のディフェンスは容易にオープンの機会を与えなかった。

特に五十嵐には鈴木達也が食らい付き、走っても走っても振りほどかせない。結局、当たり出したら5本6本と3ポイントシュートを固め打ちする五十嵐にシュートチャンスを与えず、試合を通して3ポイントシュート成功ゼロの4得点と沈黙させた。

第3クォーター後半に川嶋勇人、田渡修人の連続3ポイントシュートなど9-0のラン。ガードナーの強引なアタックでランが途切れるも、その直後に今度は岡田慎吾の3ポイントシュートで64-45と突き放す。ラスト11秒のポゼッションをホワイトのハイポストからゴール下への太田へつないで得点につなぎ、68-50として最終クォーターへ。

ディフェンスに安定感のある三遠にとって20点前後のリードはほぼ安全圏。逆転劇に欠かせない3ポイントシュートを引き続きケアしつつ、お役御免の太田に代わりスコット・モリソンが攻守に身体を張って新潟の反撃の芽をつんでいく。シンプルなインサイドアウトからホワイトが連続3ポイントシュートを決めて、残り5分を切ったところで84-55と29点差に。これで勝敗は決し、最終スコア88-66で勝利した三遠が連勝を7に伸ばした。

「連敗して帰るわけにはいかない」とリベンジを誓う

中地区2位を争う好調チーム同士の対決のはずが、スコア以上に内容に差が出てしまい、敗れた新潟にとってはショックの大きい一敗になった。庄司和広ヘッドコーチは「我慢することができなかった試合」と総括。「オフェンスで上手くいかない流れをディフェンスに引きずってしまい、フラストレーションを溜めながら試合を進めてしまったことがこの大差に繋がってしまった」と敗因を語り、「プレーが雑になった」、「チームルールから外れたプレーが多かった」と反省しきり。

またオフェンスを引っ張ることができなかった五十嵐は完敗を認めている。「オフェンスのリズムが悪く、ディフェンスでも我慢ができずに相手のペースで試合を進められてしまった」と、敗因はヘッドコーチと同様。ただ、今日も第2戦がある。「シーズン中は良い試合があれば悪い試合もあるので、引きずらないことが大事。連敗して帰るわけにはいかない」とリベンジを期した。

三遠は7連勝で22勝21敗と勝ち越しに成功。藤田弘輝ヘッドコーチが掲げる「ディフェンスを強みとし、チームルールを守って我慢強く堅実に戦うバスケット」が、時間はかかったが完成の域に近づいていると見ていいだろう。ただ、第2戦を落としてしまえば意味がない。このまま貯金生活を保ち、中地区2位の座を固めていけるか。今日の第2戦も注目だ。