文・写真=鈴木栄一

「オフェンスで迷いがなくなりました」

先週末、新潟アルビレックスBBは敵地での横浜ビー・コルセアーズ戦で2試合ともに試合終了直前までもつれる激戦を制した。これで連勝は5に伸び、中地区2位である三遠ネオフェニックスとのゲーム差は2。チャンピオンシップ出場を射程圏内にとらえる位置に盛り返してきている。

今の良い流れを生み出しているのは、何と言っても3月3日、4日とリーグ屈指の難敵であるアルバルク東京に連勝したことが大きい。相手はベストメンバーでなかったが、それは長丁場のリーグ戦ならよくあることで特に言及すべき部分ではない。

ダバンテ・ガードナー、五十嵐圭とともに、A東京撃破の立役者となったのが、12月になってチームに加入したルーキーの今村佳太だった。今村は3日に3ポイントシュート4本成功を含む18得点を挙げると、翌4日にも3ポイント5本成功を含む19得点に8リバウンドと大暴れ。今村の活躍なくして、A東京からの連勝はなかったと言えるパフォーマンスだった。

「アルバルク戦で自身初の2桁得点を挙げ、強豪相手に連勝する要因の一つになれたことは自信につながっています。オフェンスで迷いがなくなりました。どうシュートを打とうかなど、いろいろと悩んでいた部分もありましたが、アルバルク戦をきっかけに思い切りシュートを打てており、そこは自分の中で良い方向に向かっていると思います」

このように、今村はA東京との2試合が自身にもたらした変化について語る。また、結果を出せば注目されるプロ選手ならではの醍醐味を感じてもいる。

「1試合で評価が変わることを身にしみて実感しました。強豪相手に活躍することでメディアにも取り上げてもらえる。1試合1試合のプレーを見てもらえているのは大学との違いだと思いますし、そこには感激しています。自分が頑張った分だけ返ってくるのはやりがいがあり、注目度が高いのはプラスになっています」

「自分はまずディフェンスとルーズボール」

横浜に苦しみながらも連勝したことで、新潟はA東京戦で生まれた勢いをキープすることに成功した。「ウチは出だしが良いと1試合を通して我慢強い試合ができます。5連勝の間はそれが続けられており、一つひとつディフェンスに対するフォーカスができているのが勝因です」

好調の理由をこう分析する今村は、さらに自身の役割について2桁得点を目標とする一方で、まずはディフェンスでしっかり貢献することが大事と考えている。「チームにはクリエイトできる人、得点を取れる人がいっぱいいるので、自分はまずディフェンスとルーズボール、そういう泥臭いことをやっていかないといけない。誰よりも声を出してコミュニケーションを取っていく。そういった部分で人には負けないことを意識しています」

今週末、新潟は同地区2位の三遠と対戦する。相手は先週、リーグ上位の琉球ゴールデンキングスを2試合続けて64点以内に抑える堅守が特徴のチームだ。ここまでの5連勝中、4試合で90得点以上を挙げオフェンス絶好調の新潟ではあるが、これから順位を上げていくためにはオフェンスが停滞した時も勝っていく粘り強さが不可欠であり、そのために何が必要なのかを今村はしっかり理解している。

「今、勝てている要因は、苦しい時間にチーム一丸で我慢できていること。自分たちのやりたいバスケができない時間帯にどれだけコミュニケーションを取れるのか。その大切さは個人としても実感しているので、率先してやっていけたらいいなと思います」

ベテラン揃いの新潟に文字通りエナジーを注入し、チームを活性化している今村が、新潟のチャンピオンシップ出場のキーマンとなる可能性は高い。