バスケ手帳

スマホでいつでも無料&手軽に、必要なケアの知識を

新型コロナウイルスの感染拡大による全国の非常事態宣言が解除されてから数週間が経過し、バスケットボール界も次第に日常を取り戻しつつある。しかし、日本バスケットボール協会がガイドラインを示したように、急にすべての活動を再開することは『密』に繋がるため、今後も感染防止、衛生を徹底しながらプレーを続ける必要がある。

もう一つ大事なのが、長い中断期間から急にプレーを再開させることでケガのリスクが高まること。休んでいる間に筋肉は萎縮し、全身の持久力や柔軟性は落ち、運動イメージの能力も低下する。運動負荷を急に高めることは障害発生リスクが高い。

そんな時だからこそ活用したいのが新潟県バスケットボール協会のスポーツ医科学委員会が中心となって作ったWebアプリ、『バスケ手帳』だ。

強豪校であっても実際にはトレーナー不在のチームが多く、試合や練習でケガが起きた場合に処置が遅れたり、不十分だったりして、復帰に時間を要するケースは少なくない。そんな状況に対し、スマホで必要な知識をいつでもチェックできれば、トレーナーが常に帯同している状況に近づけられるのではないかという発想で『バスケ手帳』は誕生した。ケガのすべてを未然に防ぐことはできないまでも、正しい知識を持つ人が増えることで、ケガに悩む人は確実に減っていくはずだ。

『バスケ手帳』では前十字靭帯損傷といった重度のケガから日常的に起こるつき指まで、バスケットボールでよく起こるケガの対処方法や、テーピングの巻き方やケガ予防のためのコンディショニング方法などを分かりやすく紹介している。これからの季節で大事になる水分補給や熱中症対策、さらには『生死にかかわる問題』として脳しんとうやマルファン症候群(心臓の異常)までカバーしている。

本来はケガを予防して未然に防ぐことが望ましい。そのためケガの発生要因を学ぶセルフチェック、ケガをしない身体を作るコンディショニングは男子と女子、そして年代別にメニューを用意。この時期から注意が必要な熱中症対策、バスケ選手が取るべき栄養についての知識まで学ぶことができる。

バスケ手帳

部活動を安全に再開するための運動指針

冒頭で述べたように、新型コロナウイルスの感染拡大による自粛終了後、長期間バスケットができなかった選手がいきなり全力で練習すると、ケガのリスクは非常に高い。このリスクを下げるためにスポーツ医科学委員会では『部活動を安全に再開するための運動指針』と段階的に練習量を上げていく『ステップアッププログラム』を作成している。

バスケ手帳の制作を主導したスポーツ医科学委員会の近良明委員長は、新潟県に限らず全国のバスケプレーヤーに『バスケ手帳』を活用してもらいたいとの思いを語る。「ケガや痛みを隠したり、気づいていないふりをしている選手はたくさんいますが、ケガから早期復帰をするためにはできるだけ早く、正しい診断を受けることが柱になります。バスケ手帳では病名で対策をするのではなく『どういう症状が出たら』という切り口でその判断を助けられるようにと考えました。またケガを少しでも予防できればと、セルフチェックやそれに対してのコンディショニングの情報を入れています」

トレーナーを志すわけではなくても、ケガの予防や対処の知識を得ておくことで、プレーヤーとして自分が活動する期間を長くするだけでなく、仲間の選手寿命も伸ばすのに役立つ。できる限りケガに悩まされることなくバスケを楽しみたいという思いは、競技レベルにかかわらずバスケプレーヤーなら誰もが願うことで、それを実現するためにも知識は必要になる。無料で手軽に、しかし本格的な知識がいつでも無料で手軽に得られる『バスケ手帳』は、すべてのプレーヤー、指導者、保護者にとって要チェックだ。