文=丸山素行 写真=FIBA.com

辻の3ポイントシュートで前半をリード

ワールドカップ予選に臨む男子日本代表が、チャイニーズ・タイペイを横浜国際プールに迎えた。

拮抗した展開が最後まで続くも、オフェンスリバウンドからの得点を許し、勝負どころで失速した日本が69-70で敗れた。

序盤はミドルシュートの精度が上がらず、チャイニーズ・タイペイに先行される。大黒柱のクインシー・デイビスのインサイドプレー、チェン・イー・チュンの攻撃的なプレーを止められず、残り1分を切って7-17と2桁のリードを許した。それでも宇都直輝のフリースローで踏みとどまり、比江島慎のブザービーターが決まって点差を詰めた。

6点のビハインドを背負って迎えた第2クォーター、これまで1本も決まっていなかった3ポイントシュートを辻直人が沈めると、流れは日本に傾いた。

辻は連続で3ポイントシュートを沈め、第2クォーター開始1分強で19-17と逆転。素早いローテーションから宇都がこの試合2個目のオフェンスファウルを誘発するなど、ディフェンスが機能した。その後、ペリメーターのシュートも安定した日本が35-29と逆転して前半を終えた。

勝負どころのメンタルに明暗

後半立ち上がり、日本はディフェンスが機能しタフショットを誘発するも、セカンドチャンスポイントを許し逆転される。それでも大崩れせず、辻の3ポイントシュートで食らいつき、2点ビハインドで踏みとどまった。

日本は辻の3ポイントシュートが決まり、アイラ・ブラウンがオフェンスリバウンドを押し込んで、第4クォーター開始2分半で56-51とリードを奪った。

この時点でチャイニーズ・タイペイのチームファウルは3に到達し、日本が優位に試合を運ぶかに思われた。だがファウルを誘発しようとインサイドを強調し、丁寧になりすぎてしまったことで、積極性が損なわれ得点が止まった。

その弱気はディフェンスにも伝染し、オフェンスリバウンドから失点を重ね、約3分間で0-10と走られ逆転を許した。

残り1分20秒、デービスにミドルシュートを決められ62-68。それでも比江島がレイアップをすぐさま返し追い上げる。残り16秒、アイラが直前のフリースロー2投失敗を帳消しにする、オフェンスリバウンドからのゴール下で66-68。

ファウルゲームに持ち込んだ日本はチャイニーズ・タイペイに1本フリースローを決められ66-69。残り8秒、篠山がフリースローを獲得するも、ここで1本目を外してしまう。2本目をわざと外すが、ディフェンスリバウンドを保持され、フリースローを1本決められて2ポゼッション差とされ万事休す。残り2秒、辻が執念で3ポイントシュートを沈め1点差と迫るが、そこでタイムアップとなった。

「ただがむしゃらにやってしまった」

1点差での惜敗となった日本。何度か日本に流れが来た場面はあったが長続きせず、離せる場面で離しきれなかった。

特にディフェンスでハッスルし、チームに勢いを与えた篠山は「みんなただ頑張るだけじゃなく、もっとコミュニケーションが必要でした。コートで話して、相手の弱いところを突くような。それよりもただがむしゃらにやってしまった」と反省のコメントを述べた。

篠山が言うように、終盤の停滞した時間帯こそコート内でのコミュニケーションを増やし、冷静さを保つことが必要だった。

これで日本は3連敗。まだ1次予選突破の道が潰えたわけではないが、さらに厳しい状況となった。25日にはアウェーでのフィリピン戦が待ち受ける。今日の反省点をしっかり次につなげてほしい。