「みんなが良い仕事をして一体感が感じられる試合だった」
エース岡田侑大の欠場、飯尾文哉と北川弘の負傷退場、ファウルトラブル。島根スサノオマジックにとって1月31日、2月1日の京都ハンナリーズ戦は逆風にさらされ続けた試合となったが、すべてを跳ね除けて見事な連勝を果たした。
第2戦に85-72で勝利した後、この試合でチーム最長の32分2秒コートに立ち、16得点4アシスト1スティールを記録した中村太地は試合を次のように振り返った。
「今日は最初から岡田選手がいないのが分かっていたので、誰かがステップアップしなきゃいけない試合でした。限られた人数で、自分の仕事もこなしながら、全員がいつもと異なる役割をやる必要がありました。アップダウンはあったけど、みんなが良い仕事をしていたと思いますし、一体感が感じられる試合でした」
前日の第1戦、プレー中に違和感を覚えた岡田は第2クォーター残り6分53秒でロッカールームに戻り、第2戦の試合前に脳しんとうによる欠場が発表された。エース不在の緊急事態で、岡田に代わり先発を務めた中村には、いつも以上の期待がかかった。
「気持ちの面は、いつも通りでした。スタートで納見(悠仁)選手と僕が入って、2人がゲームをコントロールして、相手のプレッシャーディフェンスをいかにかいくぐれるかがチャレンジングでした」
納見はファウルトラブルがあり、21分42秒と出場時間が伸びなかった。中村は彼に変わってメインハンドラーを担い、ゲームコントロールを行いながらアグレッシブなアタックでチームを牽引した。
「もう本当にみんなが助けてくれて」と中村は笑い、続けた。「 いつも岡田選手がやっているようなムーブは僕らにはできないので、ミスも目立ちました。ただ、岡田選手が戻ってきてもコートにいない時間帯は当然あるので、そのような時間帯でどれだけタイプの違うバスケットボールができるか今日で見えたのは収穫です」
エナジーとコミュニケーションで戦術を凌駕
この試合、島根は序盤からリードを築き、京都の反撃を受けながらも最終的にリードを広げて勝利した。中村は勝因を次のように語る。
「まずディフェンスからトーンセットできたのがよかったです。(アンジェロ・)カロイアロ選手にはだいぶやられてしまいましたが、チームで崩されたというよりも1オン1だったので、チームのルールを全員がしっかり意識して対応できました。ケガ人が出たり、アンスポーツマンライクファウルやテクニカルファウルもあった試合でしたが、最後まで自分たちのやれることにフォーカスできたことが勝利に繋がりました」
前述の通り、ケガ人が試合中に出るなど、島根にとって嫌な空気が漂う時間帯も長かった。その空気に中村は引っ張られることなく、全員でプレーできたと続ける。「ゲームの中でしか分からないフローをいかに読み、つかめむかは課題として持っていましたが、今日はそれを全員で同じ方向を向いてやれたなと感じます」
同じ方向を向けた要因は、コート上での選手間のやり取りにあった。いつもと違う役割だったからこそ、喋ることは重要だった。
「時計が止まるたびに『これはどうする?』とコミュニケーションが取れていました。コーチ(ポータル・ポジッチヘッドコーチ)が『エナジーとコミュニケーションで戦術を凌駕する』がよく言うんですが、それを体現できましたね」
今シーズンから島根を指揮するボジッチヘッドコーチの考えが、中村にはしっかりインストールされていた。
「どれだけコートでエナジーを出せるかは、コーチにいつも言われていることです。選手それぞれに出せるエナジーが違うので、『ここだったら自分は負けない!』という強みを発揮できるかが重要です」
チャンピオンシップ進出のカギは接戦を取りこぼさないこと
同じ方向を向いて戦うのは選手だけではない。「会社とチームとファンが一体にならないと、チャンピオンシップの舞台には立てません」と中村は言う。
この試合はアウェーゲーム。決して島根から来やすいとは言えない京都にたくさんのファンが集まり、その数は2階席も埋めるほどだった。
「びっくりしました(笑)。相手よりも声が出ていたんじゃないですか。ファンの皆さんの熱はいつもすごいです」。中村はホームとも感じられる雰囲気の中で戦えたことに感謝し、続けた。
「連敗していたのでネガティブなところに目が行きやすいはずです。それでも前を向いて応援してくださる方が多くて温かいと感じます。選手が下を向いてたら、ファンの皆さんがケツを叩くじゃないですけど、もっと一緒になって戦っていきたいですね。そのためにも自分をしっかり表現してプレーしていきます」
アルティーリ千葉に敗れてリーグ戦の中断期間を迎えた島根は、天皇杯でも再びA千葉に敗戦。立て直しを図り中断明けの試合に臨んだが、一歩届かない3試合が続き通算5連敗で今節を迎えていた。
「接戦で連敗して、どうしても下を向いたり自信をなくして、思いきりの良さやアグレッシブさがなくなっていました。今節で連勝できて、本来の自分たちを取り返した週末になりました。まだまだこれから山は続きますが、 崖っぷちの精神で毎試合毎試合やっていくことが大事ですね」
島根は今節を終えて19勝16敗の西地区7位。チャンピオンシップ圏内まで3ゲーム差ではあるが、広島ドラゴンフライズや佐賀バルーナーズも同勝率と混戦を極めている。
「チャンピオンシップに出るためには接戦を取りこぼさないことが重要です。まだ欠場者もいて、自分たちのやりたいことが思う通りにできないですが、みんなでもがきながら同じ方向を見てやっていきたいです」


