健闘が目立つSR渋谷の指揮官、勝久ジェフリー「バスケが世界で一番素晴らしいスポーツ」

2018/02/16
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

サンロッカーズ渋谷はシーズン開幕時点で新外国籍選手のブランデン・ドーソンがケガで離脱。その後も追い打ちをかけるように主力選手が次々と負傷していった。そんな状況でも1試合平均失点70.4とリーグ3位の堅守を軸に勝ち星を積み上げ、22勝14敗と堂々の成績を残している。

今シーズンから指揮を執る勝久ジェフリーヘッドコーチに、そんなチームをどのようにして作り上げたか話を聞いた。インタビューの前編では、勝久コーチのルーツに迫る。

「『バスケが大好き』ということは確かだった」

──まずはコーチを志すようになるまでの経緯を教えてください。

中学まで日本で過ごし、高校、大学はアメリカでした。大学4年生の時に、自分は何がしたいんだろうと考えました。僕が通った学校は社会に貢献するという意識付けが強く、卒業したら人のために何ができるかを考えていました。その中で『バスケが大好き』ということは確かだったんです。それで大学卒業後はコーチをやりたいと決めて、就職して仕事をしながら、最初はボランティアベースで母校の高校の育成システムのコーチを始めました。

僕はバスケが世界で一番素晴らしいスポーツだと思っているし、その魅力を他の人にも感じてもらいたかった。僕はバスケを通じてバスケットの技術だけじゃなく、人としていろいろ学びました。他の人にも同じ経験をしてもらいたかった。世の中への還元とバスケをつなげたら良いと思い、まずは仕事をしながらボランティアでやってみようとしたんです。それがコーチになったきっかけです。

──バスケに携わるという意味では、コーチ以外の方法もあります。その中でコーチを選んだ特別な理由はありますか?

大学4年の時に合唱団に入ったんです。親友と夏の西海岸をドライブしながら車の中で歌っていて「合唱団に入ろうか」というノリで(笑)。そうしたら2人ともすごくハマってしまって、その理由を考えたら指導者が素晴らしかったからなんですね。高校の時もクロスカントリーのコーチに影響を受けたことがあって、良い影響を与える指導者になりたいと思いました。

「一体感を持ってやることを重視」

──今シーズンのスローガンは『Together』(一体感)です。キャプテンの伊藤選手もその一体感を感じるという話をしていました。どのようにして意識付けをしてきましたか?

僕はヘッドコーチとしていろいろな決断をしないといけません。一つひとつの決断をしていく時に、一体感を持ってやることを軸として重視しています。AとBの選択肢があった場合、Aのほうが一体感が出るのであればそちらを優先します。

あとはスケジュールや規律のことで言えば、時間を守ったり、誰かが話している時にちゃんと聞くとかそういうところですね。お互いをリスペクトしてやることが僕にとっては大事です。

──勝久コーチが大事にしている『一体感』はチームに浸透していると感じますか?

まだまだ脆いと思っています。負けが込んだり、プレーが練習でうまくいかなかったりしたら、下を向くことがあるので。そこでもっとお互い話し合おうとか、下を向かずにポジティブにやろうとか、そういうところはまだまだこれからです。

「余裕がないから僕は真面目でいるしかない」

──試合中の勝久コーチを見ていると、勝っても表情を崩さず、常に冷静なイメージです。感情をあまり表に出さずに、選手たちに思いが浸透している要因はどんなところにありますか?

「真面目だから」、「こういう人だから」と思われてるからじゃないですか? 僕の態度がいろいろ変わっていれば「あの時はこうだったのに、こういう時にはこうするのか」みたいな感じになると思います。でもコンスタントに真面目なので。「なんだよ、真面目だな」って言ってくれればそれでいいかなと思います(笑)。

──選手と接する際、時には違うキャラクターを演じることで選手と打ち解けたりすることがあると思います。その真面目な姿というのは、『素』の姿ですか?

まだコーチとして余裕がないから、僕は真面目でいるしかないんだと思います。僕がもっと余裕のあるコーチだったら、真面目プラス冗談ももっと言えるかもしれません。別にこういう状況じゃなかったらもっと冗談とか言ってもいいのになって自分で思うこともあるんですけど、余裕がないから冗談を言えないんですよ。

ムーさん(伊佐勉アシスタントコーチ)は本当にうまいんですよ。厳しいことを言うんですけど、話をする前に何かを言うことでスッと入ってくるような言い方なんです。例えば僕がそれを言ったら、いつも真面目だから選手からしたら「何?」ってなる。でもムーさんの言い方だと前置きが一つあって、「今めっちゃ言われたけど、何か笑えるね」みたいな。

──真面目しかできないと言いますが、その真摯さが選手に伝わるから良い影響を及ぼしているのではないでしょうか。

それが一体感につながっているかは分からないですけど、そうだったらうれしいです。僕とムーさんのバランスも良い方向に向いているのかもしれないですね。